米国は関税より話し合いで世界経済の懸案解決を、英中銀総裁が訴え

イングランド銀行(BOE、英中央銀行)のベイリー総裁は3月5日、議会下院の財務委員会で証言し、トランプ米政権に対して世界経済に関する懸案は輸入関税ではなく話し合いを通じて解決するよう訴えた。6日、ロンドンで代表撮影(2025年 ロイター)
David Milliken William Schomberg
[ロンドン 5日 ロイター] - イングランド銀行(BOE、英中央銀行)のベイリー総裁は5日、議会下院の財務委員会で証言し、トランプ米政権に対して世界経済に関する懸案は輸入関税ではなく話し合いを通じて解決するよう訴えた。
ベイリー氏は、先週南アフリカで開かれた20カ国財務相・中央銀行総裁会議でも、自由貿易の重要性を強調したと説明。質疑の時間に「世界経済に何らかの不均衡があると考えるとしても、それら不均衡に対処するのは多国間の協議であり、一方的な行動であってはならない」と語った。
またベイリー氏は中国とドイツが大幅な経常黒字を抱えていると指摘しつつ、米国には経常赤字と巨額の財政赤字があり、経常赤字は外国資本で賄っているという問題に解答を出さなければならないと述べた。
米国が国際通貨基金(IMF)と世界銀行から脱退すれば「世界にとって非常に大きな打撃になる」と警告した。
この日の下院財務委員会の質疑では、BOEの政策委員の間で将来の利下げ姿勢をどう表現するのが最適かについて意見が割れている問題に焦点が当てられた。
BOEは先月の会合で追加利下げを決定し、政策金利は4.5%まで低下した。
たださらなる利下げについて、大半の委員は「注意深く」進めるとの表現を支持しているのに対して、少数派は物価上昇率が想定より高止まるリスクへの懸念を念頭に「慎重に」検討するのが望ましいとしている。
ベイリー氏は「注意深く」の言い回しに賛同しており、BOEが今年想定する物価の上振れがより定常的なインフレ圧力になる公算は乏しいとの考えを改めて示した。