インタビュー:来期純利益1.2兆円超、法人向け活況 Oliveも想定以上=SMFG社長
12月27日、 三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)の中島達社長(写真)は、26年3月期の連結純利益が1兆2000億円を超える見通しを明らかにした。都内で16日撮影(2024年 ロイター/Miho Uranaka)
Miho Uranaka Anton Bridge
[東京 27日 ロイター] - 三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)の中島達社長は、26年3月期の連結純利益が1兆2000億円を超える見通しを明らかにした。国内大企業向けや海外の事業がけん引する上、政策保有株の売却益が利益を押し上げ、過去最高を更新する予想の今期計画をさらに上回るという。ロイターとのインタビューで語った。
SMFGは11月、国内外の預貸金事業や海外事業が好調として、25年3月期の連結純利益予想を1兆1600億円に上方修正した。中島氏は、こうした状況は今後も続き、来期業績は「普通に考えると(純利益で)1.2兆円を十分超えてくる」と話す。政策株の売却効果もあるが、それを除いた実力値ベースでも1兆円を超えるとの見方を示した。
国内企業の設備投資のパイプラインが積み上がるなど資金需要が強い上、東京証券取引所の株価純資産倍率(PBR)改善要請のもと、経営陣が参加する買収(MBO)や企業の合併・買収(M&A)の需要が増加している。中島氏は、傘下のSMBC日興証券も多くの案件を抱えているといい「来年度は間違いなく法人ビジネスが活況」と述べた。
米投資銀行、ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループとは企業の資金調達などの分野で提携を強化してきた。米トランプ次期政権下では、企業によるM&Aや資本調達などの機会が相当増加するとみており、「提携効果をさらに出していける、そういうチャンスが出てくる」との認識を示す。これまで発行市場を中心に協業を進めてきたが、今後は流通市場での連携も検討していくという。
<個人向けのオリーブは想定上回る>
国内では「金利ある世界」への回帰で、安定した資金を確保するため「決済性預金」の拡充を進めている。23年3月にサービスを開始した総合金融サービス「Olive(オリーブ)」は、当初の想定を上回る早さで会員数を伸ばし、11月末までのアカウント開設数は350万件を超えた。これに伴う銀行の口座開設数も1.5倍に増加している。
中島氏によると、来期と見込んでいたオリーブ事業の単年度黒字化は、今年度に前倒しで達成する。今後さらに重点的に投資を進め、3年後には400億円程度の業務純益への貢献が見込まれるという。
オリーブは、スマートフォンのアプリ1つで、口座の管理、決済、証券、保険などの金融サービスに加えて、家計簿や旅行といったさまざまなサービスを利用できる。ポイントをためて使用することも可能で、決済に利用されるお金が内部に滞留する仕組みを構築している。
粘着性の高い資金として決済性預金の確保に動き出す中で、他のメガバンクは有効な施策を打ち出せておらず、オリーブが先んじた格好だ。中島氏は「差別化が難しくなってきているが、もっと投資してさらに使いやすいものにする。他社が提供できないようなサービスをつけて、差を維持し競争力を保っていきたい」と意気込みを語った。
※インタビューは16日に実施しました。
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