セブン傘下「ヨーカ堂」買収、ベインとKKRが1兆円前後を提示=関係者
セブン&アイ・ホールディングス傘下のスーパーなど非中核事業を束ねる中間持ち株会社の株式売却手続きに向けた1次入札に通過した米ファンドのベインキャピタルやKKRが、企業価値として1兆円前後を提示していたことが分かった。写真はセブン&アイ・ホールディングスのロゴ。2017年12月東京本社で撮影(2024年 ロイター/Toru Hanai)
Miho Uranaka Makiko Yamazaki Ritsuko Shimizu
[東京 25日 ロイター] - セブン&アイ・ホールディングス傘下のスーパーなど非中核事業を束ねる中間持ち株会社の株式売却手続きに向けた1次入札に通過した米ファンドのベインキャピタルやKKRが、企業価値として1兆円前後を提示していたことが分かった。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。ただ、デューデリジェンス(詳しい資産査定)次第で、2次入札の価格は変わる可能性がある。
1次入札を通過したのは内外のプライベートエクイティ(PE)ファンド3社で、関係者2人によるとKKRが約8000億円を提示、うち1人の関係者によるとベインは1.2兆円規模を示したという。同じ関係者によると、日本産業パートナーズ(JIP)の提示は7500億円程度だった。セブンはヨークHDの価値を5000億円程度と見込んでいたもよう。
売却の対象となっているのは、イトーヨーカ堂や食品スーパーのヨークベニマル、ベビー用品の赤ちゃん本舗など31社を束ねる中間持ち株の「ヨーク・ホールディングス」で、セブンは2025年度に持分法適用会社とする方針を示している。
関係者らによると、入札に通過した3社は今後法的拘束力を持つ提案を出し、セブンは早ければ2月にも候補企業を選定する。別の関係者によると、その後詰めの協議を行った上で、来春には最終的に決定したい考え。
1次入札には3社のほか、住友商事、米フォートレス・インベストメント・グループなども応札していた。提示金額の上位3社が2次入札に進んだが、デューデリジェンス次第で価格が変わる可能性はあり、1次入札で落選した企業も通過企業との交渉次第では、再度候補先として浮上することもあり得る。
セブン&アイに対してはカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタール(ACT)が7兆円規模の買収提案を行っているが、セブン&アイ副社長である創業者の次男の伊藤順朗氏と、大株主で創業家が役員を務める資産管理会社・伊藤興業からも対抗策として株式の非公開化の提案を受けている。関係者らによると、創業家側は伊藤忠商事にも資本の出し手として資金の拠出を要請している。
セブンの広報担当者は「入札については非開示のため、コメントは差し控える」とした。KKR、ベインはコメントを控えた。JIPは、コメントすることはないとした。
総額7兆円以上になる対抗買収提案については銀行団が巨額の融資を調整中だが、関係者の1人によると銀行間の足並みがそろわず、年内と目されていた融資をまとめることは難しくなっている。
資本をどれだけ調達できるかによって融資の必要額も変わってくるため、関係者らによると、創業家側はベインとKKRに対して資本の拠出として融資と投資の中間的な位置付けのメザニンによる対抗策への参加を打診したという。
セブン&アイの時価総額は24日時点で6兆2000億円。実現すれば国内企業の株式非公開化で最大の案件になる。
(浦中美穂、山崎牧子、清水律子 取材協力:Anton Bridge 編集:田中志保)
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