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再生可能ブーム、トランプ新政権でも急減速の可能性低く

2024年11月07日(木)12時47分

 次期米大統領にトランプ前大統領が返り咲くことで、米国のエネルギー政策は石油・ガス生産の最大化に焦点が絞られる。気候変動との闘いからは遠ざかるだろうが、米国の再生可能エネルギーのブームが劇的に減速する可能性は低そうだ。テキサス州フォートストックトン近郊で昨年3月撮影(2024年 ロイター/Bing Guan)

Richard Valdmanis

[6日 ロイター] - 次期米大統領にトランプ前大統領が返り咲くことで、米国のエネルギー政策は石油・ガス生産の最大化に焦点が絞られる。気候変動との闘いからは遠ざかるだろうが、米国の再生可能エネルギーのブームが劇的に減速する可能性は低そうだ。

トランプ次期政権下での後退に対する投資家の懸念から、クリーンエネルギー関連の株価は6日に急落した。太陽光発電を手がける企業群の指標となるMACグローバル・ソーラー・エナジー・インデックスは日中の取引で10%下落し、再生可能エネルギー事業開発・所有で首位のネクストエラ・エナジー・パートナーズの株価は6.2%下げた。

バイデン現政権下に施行された太陽光や風力などのクリーンエネルギー事業に10年間の有利な補助金を支給する法律は共和党が強い州から支持を受けているため廃止は不可能に近く、トランプ氏に残された他の手段による影響も限定的だとアナリストらは指摘する。

ヒューストン大のエネルギー研究員、エド・ハーズ氏は「トランプ氏はこの(クリーンエネルギーへの)移行を遅らせることはできないと思う」とし、「既にかなり進行中だ」と説明した。

エネルギー省によると、太陽光や風力などの再生可能エネルギーは送電網の中で最も急成長している分野になっており、連邦政府による税控除、各州の再生可能エネルギー義務化、技術の進歩によるコスト低減が原動力となっている。

バイデン大統領は気候変動対策で2035年までに電力部門の脱炭素化を目指す広範な取り組みの一環として、数十億ドルの太陽光・風力補助金を10年間保証するインフレ抑制法(IRA)を22年に成立させた。

トランプ氏は大統領選前にIRAについて金がかかり過ぎると非難し、法律によって割り当てられた未使用の資金をすべて取り消すと約束した。この脅し文句が現実になれば、米国のクリーンエネルギーブームに冷水を浴びせる可能性がある。

しかし、IRAの廃止を決議するには、太陽光発電施設や風力発電所などのIRA関連投資の恩恵を受けた州の選出議員を含めて議会で賛成を得る必要がある。

法律事務所のマクダーモット・ウィル・アンド・エメリーのパートナーで、バイデン政権に再生可能エネルギー政策について助言したカール・フレミング氏は、IRA関連投資について「雇用と経済的恩恵は共和党が強い州に集中している」と指摘した。

ロイターはこれまでに、トランプ派の多くもクリーンエネルギー技術への投資を通じてIRAの恩恵を受けていると報じていた。

フレミング氏は、トランプ氏が大統領復帰後にIRAの補助金や融資を手がける連邦機関を妨害したり、洋上風力発電などの連邦政府のリース契約を縮小したりして進捗を遅らせる可能性があるとの見方を示す。

フレミング氏は「新政権が誕生すれば、直ちに予算の削減や制限、または予算と連動した機関の自由な活動を制限する可能性がある」としつつ、「それはより大きな再生可能エネルギー市場のごく一部であり、衝撃的な打撃を与えるとは思わない」と言及した。

ロイター
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