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大企業の景況感はまちまち、非製造業は価格転嫁で改善=9月日銀短観

2024年10月01日(火)10時32分

 10月1日、日銀が1日発表した9月短観では、大企業の景況感がまちまちとなった。日銀本店で2023年9月撮影(2024年 ロイター/Issei Kato)

Takahiko Wada

[東京 1日 ロイター] - 日銀が1日発表した9月短観では、大企業の景況感がまちまちとなった。製造業の業況判断指数(DI)はプラス13と前回から変わらず。海外経済の減速が重しとなる一方で、IT関連需要が支えとなった。一方、非製造業のDIはプラス34で2期ぶりに小幅に改善した。価格転嫁の進展が業況感を押し上げた。

ロイターがまとめた予測中央値では、大企業・製造業の業況判断DIがプラス13、非製造業がプラス32となっていた。

<小売、猛暑や自然災害で販売増>

大企業・製造業では、IT需要の回復で「繊維」「非鉄金属」「生産用機械」「電気機械」などが改善。原材料やエネルギーの価格上昇一服で「紙・パルプ」「化学」が前回を上回った。

一方、海外需要の伸び悩みで「窯業・土石製品」「鉄鋼」「自動車」などは悪化。自動車は前回から5ポイント悪化してプラス7。台風などによる工場停止の影響も響いた。「木材・木製品」「食料品」などはこれまでのコスト上昇の影響で悪化した。

先行きDIはプラス14で、予測中央値プラス12を上回った。海外経済の伸び悩み懸念の一方で、IT需要や自動車生産の回復に期待する声が聞かれたという。

非製造業のうち、「建設」「対事業所サービス」「宿泊・飲食サービス」では価格転嫁が進展したとの声が聞かれた。宿泊・飲食サービスはプラス52で、過去最高だった24年3月調査に並んだ。猛暑や自然災害で販売が増えた「小売」は9ポイント改善してプラス28。

一方、「対個人サービス」は悪化した。レジャー施設などから、台風や猛暑で需要が減退したとの声が出された。

先行きDIはプラス28で、足元より6ポイント悪化の見込み。予測中央値プラス30も下回った。「建設」「不動産」「卸売」「対事業所サービス」「宿泊・飲食サービス」などから人件費や原材料価格といったコスト高への懸念が聞かれた。

<想定為替レートは円安方向に修正>

事業計画の前提となる想定為替レート(全規模・全産業)は2024年度通期で1ドル=145.15円と、6月調査の144.77円から円安方向に修正された。8月上旬以降、外為市場では円高に振れたが、上期としては企業にとって想定以上の円安になったことで、通期の想定レートを円安方向で見直すことにつながったとみられる。

大企業・全産業の設備投資計画では、24年度が前年度比10.6%増。予測中央値11.9%増は下回ったものの、過去平均は上回った。

調査期間は8月27日から9月30日。回収基準日は9月11日で、基準日までの回収率は7割強だった。

ロイター
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