ニュース速報
ビジネス

FRB当局者、今後の利下げ示唆 市場混乱ではなく指標で判断

2024年08月09日(金)10時13分

8月8日、米連邦準備理事会(FRB)の政策当局者らは、インフレ率が十分に鈍化しており、今後利下げが可能になるという確信が強まっていると指摘した。写真はワシントンのFRBで2013年7月撮影(2024年 ロイター/Jonathan Ernst)

Ann Saphir

[8日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)の政策当局者らは8日、インフレ率が十分に鈍化しており、今後利下げが可能になるという確信が強まっていると指摘した。利下げの規模や時期は株式市場の混乱への対応としてではなく経済指標に応じて判断すると表明した。

2日に発表された7月の米雇用統計が軟調となったことを受け、世界の株式市場は混乱。米景気後退懸念が高まり、より積極的な利下げが必要になるとの見方が広がった。

リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は米株式市場について、最近の下落後も年初来では依然として上昇しているとし、「激変の出来事」ではないとの見方を示した。

また「インフレの全ての要素が落ち着きつつあるようだ」とし、企業経営者から聞いている話に基づき、この状況が今後も続くことに期待していると述べた。

米労働市場の減速は解雇の増加ではなく雇用の伸び鈍化によるものだという認識も示した。

「経済が緩やかに正常化しつつあり、着実かつ計画的に金利を正常化できる状況にあるのかを見極める時間はある」と述べた。

カンザスシティー地区連銀のシュミッド総裁も、最近の市場の混乱に言及し、「金融情勢は経済動向に関する重要な情報を明らかにすると同時に、それが波及して実体経済に影響を与えることもある」と指摘。

その上で「FRBは(雇用最大化と物価安定という)2つの責務の達成に引き続き焦点を当てる必要がある」と述べた。

現在のインフレ率が2.5%前後となる中、最近の「心強い」データはインフレがFRBの目標に向けて鈍化しているという確信を強め、利下げの用意を整えるとの見方を示した。

米経済は堅調で、消費者の需要は強く、労働市場ははっきりと減速しているものの、失業率の上昇以外の指標を考慮すればなお「かなり健全」だと指摘し、FRBの現在の政策スタンスは「さほど制約的ではない」とも述べた。

シカゴ地区連銀のグールスビー総裁は、FRBの仕事は株式市場の急落や政治的事象に対応することではないとの見解を改めて示した。

FRBの政策については制約的だとし、インフレ率が低下している中で据え置けばさらに制約的になり、労働市場に悪影響を及ぼすリスクがあるとの見解を改めて示した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=続落、テスラが安い

ビジネス

NY外為市場=ドル2年ぶり高値、米経済楽観論で

ワールド

ラスベガスのテスラ車爆発、死亡の運転手は現役陸軍兵

ワールド

韓国捜査当局、尹大統領の逮捕状執行へ=聯合ニュース
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2025
特集:ISSUES 2025
2024年12月31日/2025年1月 7日号(12/24発売)

トランプ2.0/中東&ウクライナ戦争/米経済/中国経済/AI......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    カヤックの下にうごめく「謎の影」...釣り人を恐怖に突き落とした「超危険生物」との大接近にネット震撼
  • 2
    「これが育児のリアル」疲労困憊の新米ママが見せた赤ちゃんハプニングが話題に
  • 3
    早稲田の卒業生はなぜ母校が「難関校」になることを拒否したのか?...「アンチ東大」の思想と歴史
  • 4
    イースター島で見つかった1億6500万年前の「タイムカ…
  • 5
    真の敵は中国──帝政ロシアの過ちに学ばない愚かさ
  • 6
    地下鉄で火をつけられた女性を、焼け死ぬまで「誰も…
  • 7
    青学大・原監督と予選落ち大学の選手たちが見せた奇跡…
  • 8
    中高年は、運動しないと「思考力」「ストレス耐性」…
  • 9
    ロシア軍の「重要」飛行場を夜間に襲撃...ウクライナ…
  • 10
    「少数与党」でモヤモヤする日本政治だが、そのしな…
  • 1
    地下鉄で火をつけられた女性を、焼け死ぬまで「誰も助けず携帯で撮影した」事件がえぐり出すNYの恥部
  • 2
    真の敵は中国──帝政ロシアの過ちに学ばない愚かさ
  • 3
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 4
    ヨルダン皇太子一家の「グリーティングカード流出」…
  • 5
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 6
    JO1やINIが所属するLAPONEの崔社長「日本の音楽の強…
  • 7
    イースター島で見つかった1億6500万年前の「タイムカ…
  • 8
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 9
    カヤックの下にうごめく「謎の影」...釣り人を恐怖に…
  • 10
    流石にこれは「非常識」?...夜間フライト中に乗客が…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 3
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 4
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 5
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 8
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 9
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 10
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中