日本の石破首相がトランプに主張すべきこと
東アジアの危機で台湾を見捨てる不安
欧州の首脳はほぼ例外なく、アメリカを非難し、ウクライナとの団結を表明した。一方、日本の石破首相は「思いやりや忍耐に裏打ちされた外交が必要」だと、慎重で中立的なコメントを発するにとどめている。
こうした態度は理解できなくはない。第2次大戦後の80年間、日本の安全保障はアメリカに大きく依存してきた。トランプの不興を買いたくないのだろう。トランプは称賛を喜ぶ。世界の指導者はカネがかからない称賛が会談を成功に導くかもと考え、ご機嫌伺いをする。ゼレンスキーもウクライナ人ボクサーのチャンピオンベルトを贈った。石破もアメリカの液化天然ガスとF35戦闘機の購入増をほのめかした。
しかし、トランプは気まぐれで、しかも長年の同盟国に対して敵対的な姿勢を強めている。今回の行動を目の当たりにすると、アジアで危機が持ち上がったときに台湾を見捨て、日本との同盟関係に基づく責任を放棄するのではないかという不安を抱かずにいられない。
石破は確かに、G7の結束と多国間の制度やプロセスの重要性を強調した。しかし、トランプの親ロシア的な主張に真っ向から異を唱えることを避けつつ、ヨーロッパとアジアで西側諸国の同盟関係を堅持することが西太平洋の安定にとって極めて重要であることも強調できたはずだ。
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