コラム

バイデンとトランプの大きな違い──「機密文書問題」を読み解く

2023年01月24日(火)11時40分

バイデンの機密文書問題が報じられて数日後、私は専門家としてテレビのニュース番組に出演し、この問題について解説した。具体的には、どのようなリスクがあるかを語り、その上でバイデンのケースとトランプのケースの違いを説明した。バイデンが自発的に適切な報告を行ったのに対し、トランプは文書の持ち出しについてごまかし、嘘をつき、法律をないがしろにした。

私はこのとき、政治的な争いとは関係なく、あくまでも事実を語った。しかし、同じ番組に出演した民主党幹部はトランプを激しく批判し、共和党幹部はバイデンの高齢と無能を当てこすった。

私が懸念するのは、党派間の泥仕合が続く結果、多くの人がバイデンとトランプの機密文書問題を「似たり寄ったり」だと雑に理解してしまうことだ。実際、そうした誤った認識が広まりつつある傾向は、既に見て取れる。世論調査では、バイデンの支持率が落ち込み始めているのだ。

ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


プロフィール

グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ノルウェー政府系ファンドの防衛株投資禁止、見直しの

ビジネス

ブラジル貿易黒字、4月は前年比3.3%減 予想と一

ビジネス

米国以外の投資先探しが注目テーマに、ミルケン研究所

ビジネス

豪ANZ、上半期利益横ばい 住宅ローン競争と減損処
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 8
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 9
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 10
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story