コラム

女性支援団体に対する執拗な嫌がらせの実態が明らかに

2023年05月24日(水)14時20分
<関連記事>
女性支援団体Colaboの会計に不正はなし
尊敬する人にストーカーされたら......「同意」に隠されたワナが女性を傷つける
誹謗中傷には厳罰化された侮辱罪で対抗せよ

(写真はイメージです) PeopleImages.com - Yuri A/shutterstock.

<有志による「女性支援を守るメディア連絡会」の調査で、団体スタッフや利用者に対するストーカーまがいの嫌がらせが横行し、女性支援の活動が危機にさらされていることがわかった>

3月に書いたコラムで、女性支援団体Colaboが公金の不正使用の疑いで攻撃されていたが、住民監査の結果Colaboの会計に不正はなかったと認められたと紹介した。それにも関わらず、5月に至ってもなお、Colaboは叩かれ続けており、様々な嫌がらせによってその活動に制約を受けている。

そしてColaboと同じく「東京都若年被害女性等支援モデル事業」を受託した団体など、他の女性支援団体も、やはり酷い嫌がらせを受けていたことがわかった。このような異常な事態への対応を当事者だけに押し付けてはならない。行政やメディアが毅然とした対応を取らなければ、嫌がらせは終わることはないだろう。

オンライン上で多くの被害

女性支援の現場が危機に晒されている現状を受けて有志により結成された「女性支援を守るメディア連絡会」が、東京都から「東京都若年被害女性等支援モデル事業」を受託した団体など8団体を対象に行った調査によれば、全ての団体がオンライン上で誹謗中傷されているという認識があり、活動に支障が出ていることが分かった。

具体的な被害としては、団体の活動やスタッフの写真を無許可でネットにアップしたり、関係者の個人情報を探ったりする動きが大半の団体から報告されている。関りがある人物を陰謀論的な団体「ナニカグループ」と一括りにしてネットに晒すという嫌がらせでは、スタッフの心理的安全性が脅かされている。また、事業所の住所を公開していない場所も含めて調べられ、Googleストリートビューなどの画像を晒されるという被害もほとんどの団体であった。

利用者や支援対象者の中にも、個人情報を調べられ、SNS上でつきまとわれたり、誹謗中傷されたりする人もいた。危険を感じてSNSアカウントを閉じる人もいたという。

嫌がらせの電話やメール、またSNSのリプライなどオンライン上での誹謗中傷もほとんどの団体が受けている。また半数の団体が、支援対象者になりすました人からの連絡の対応に困っていた。嫌がらせやなりすましの電話やメールが頻発することで、支援を必要としている人と繋がりにくくなるケースも報告されており、被害は甚大だ。

プロフィール

藤崎剛人

(ふじさき・まさと) 批評家、非常勤講師
1982年生まれ。東京大学総合文化研究科単位取得退学。専門は思想史。特にカール・シュミットの公法思想を研究。『ユリイカ』、『現代思想』などにも寄稿。訳書にラインハルト・メーリング『カール・シュミット入門 ―― 思想・状況・人物像』(書肆心水、2022年)など。
X ID:@hokusyu1982

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ発表 初の実戦使用

ワールド

国際刑事裁判所、イスラエル首相らに逮捕状 戦争犯罪

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 2
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 5
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 8
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 9
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 10
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story