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ウクライナ危機でロシア寄りの立場を取り続けるドイツの右翼
影が薄いのはなぜ?(2月15日、モスクワでプーチンと会談したドイツのショルツ首相) Sputnik/Sergey Guneev/Kremlin/REUTERS
<ロシアのウクライナ侵攻を止めようとアメリカやNATOが外交努力や軍事支援を行うなかでもドイツが協力に及び腰なのは、ドイツという国家は本質的に「ロシア贔屓」だからだ。その傾向は極右にはっきり見て取れる>
ウクライナ情勢が緊迫する中、ドイツの腰が重い。国際社会に西ヨーロッパの大国としてロシアとの交渉に積極的な役割を果たすことを期待されているが、天然ガスをロシアに依存しているドイツは、その行動に制約が課せられている。一方ドイツの極右政党AfD(ドイツのための選択肢)は、政府の弱腰を批判するのではなく、むしろロシアに親和的な立場を取っている。その背景には何があるのか。
煮え切らないドイツ政府
ウクライナ情勢の緊迫化について、ドイツは煮え切らない立場を取っていると世界から思われている。天然ガス供給の多くをロシアからのパイプラインに依存していることなどが理由だ。1月末には、ウクライナへの支援として5000個のヘルメットを送り、武器などの支援を期待していたウクライナ側を失望させた。2月15日、フランスのマクロン大統領に遅れることおよそ1週間、ショルツ首相もプーチン大統領と会談したが、それまではSNSで「ショルツはどこ?」と揶揄されるぐらい、この問題について存在感は薄かった。
強硬な態度を取るロシアに対して、弱腰とも取れるドイツ。気になるのは、こうした対応が市民の鬱憤を溜め、タカ派的な主張をする極右勢力の台頭に繋がらないかということだ。しかし今回に関しては、その懸念はしなくてよいかもしれない。なぜなら、ドイツの右翼勢力、たとえば国政政党であるAfDは、ドイツ政府以上にロシア寄りの立場を取っているからなだ。
AfDの親ロシア政策
『ヴェルト』紙によると、1月以降、AfDの国会議員はロシアのメディアに繰り返し出演し、同国の立場に理解を示す発言を行なっている。2月15日には、院内幹事長のベルント・バウマンがロシアのクリミア併合を正当化した。党の公式声明でも、ロシアのクリミア併合は容認されている。ドイツ政府および諸政党がウクライナのNATO加盟について、国家主権を尊重する立場から言及を避けているのに対し、AfDは声明で、事実上の加盟の断念を呼びかけている。
こうしたAfDの見解に対して、政府与党のFDP(自由民主党)院内幹事コンスタンティン・クーレは、AfDを「ロシア国家プロパガンダの手先」と述べた。野党CDU(キリスト教民主同盟)の外交政策担当ローデリッヒ・キーゼヴェッターも、AfDはロシアの外交戦略に貢献していると評している。
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