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<衆院選>それでも日本人は新自由主義を選んだ
「真の勝者」日本維新の会の松井一郎代表(10月18日の党首討論会で) Issei Kato- REUTERS
<衆院選の真の勝者は、アベノミクスからの脱却をうたった岸田自民党でも弱者救済を訴えた野党でもなく、日本維新の会だった>
10月31日に行われた衆議院選挙は、自民党と立憲民主党が議席を減らし、日本維新の会が躍進するという結果に終わった。今回の選挙は、情勢調査も出口調査もバラバラで、とても難しい選挙となっていたが、維新の会が少なくとも3倍程度に躍進することは分かっており、そこだけは最後まで揺るがなかった。
二転三転する情勢
今年の春ごろ、菅首相はワクチン政策とオリンピックを成功させ、その余波で選挙に突入し大勝することを目標にしていた。しかしオリンピック期間中に日本を襲ったコロナ第五派の影響などにより、菅政権の支持率は低下し、自民党大敗がささやかれるようになった。菅首相は辞任することになった。菅首相の辞任によって一カ月間の自民党総裁選が行われ、岸田政権が誕生した。自民党は支持率を回復させ、選挙に勝利すると思われた。しかし、岸田首相は総裁選で訴えていた分配政策をトーンダウンさせ、静岡の参議院補選も敗北するなど失策が続き、総裁選効果は急速に低下していった。
一方、野党第一党の立憲民主党は、共産党との合意により多くの選挙区で候補者の一本化に成功する反面、最大の支持母体である労働組合「連合」系の離反を招き、選挙についてはよい流れと悪い流れの両面があった。こうした不安定な情勢を受けて、新聞社やテレビ局の情勢調査は混乱し、各社でまったく異なる結果が現れていた。
こうした中で確実だったのは、日本維新の会が在阪メディアの圧倒的支援のもと、近畿地方を拠点に確実に支持を伸ばしていったということだった。選挙区当選こそ近畿以外では出来なかったが、比例票を全国で積み重ね、今回の選挙唯一の勝者となった。
維新勝利の政治的意味
日本維新の会が勝利した要因を分析すれば様々あるだろう。それぞれの選挙区の事情や、メディア戦略の巧みさ。たとえばコロナ対策については、大阪府は人口当たりのコロナ死亡率が全ての都道府県の中で最も高い。全国に先駆けて第三波が大阪で到来したのは、コロナ禍にも拘わらず強行した都構想住民投票のせいともいわれているし、第四波、第五波では、いわゆる「自宅療養」によって、多くの感染者が放置され亡くなった。それにも拘わらず、吉村知事のコロナ対策への評価は6割以上もある。これではコロナ対策への支持率が2割を切り、辞任するに至った菅前首相も浮かばれないだろう。
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