- HOME
- コラム
- 現代ニホン主義の精神史的状況
- 都議会選で自民党を大敗から救ってやったキミへ
都議会選で自民党を大敗から救ってやったキミへ
都議選投票日。20代の投票率は28%と最も低かった(7月4日) Issei Kato-REUTERS
<コロナ、失業、五輪強行と不満だらけのはずなのに、若い世代は相変わらず投票に行かず、政治家にも舐められっぱなしだ>
7月4日に行われた東京都議会議員選挙は、勝者らしい勝者がいないという結果に終わった。この選挙では、大きく分けて3つの政治ブロックが争った。都民ファースト、自民+公明、立憲民主+共産+生活者ネットである。
獲得議席は、都民ファーストが31、自民+公明ブロックが56、立憲+共産+ネット+共闘無所属ブロックが36。いずれの勢力も過半数を制することができず、今後の議会運営は激しい駆け引きが行われることになるだろう。
今回の選挙で目立ったのは、42.391%という低投票率だ。これは過去最低の1997年の40.80%に次ぐ低さだった。世代別にみれば、20代が28%と最も低くなっている。低投票率によって得をするのはどこか。組織票に頼った勢力だ。
勝利者なき選挙
自民党は当初の予想では公明党と合わせて過半数は確実だと思われていたが、蓋を開けてみれば僅差での第一党であり、歴史的大敗を喫した前回選挙からは議席を増やしたものの、これもまた歴史的大敗といわれた2009年の民主党旋風時の議席数よりも少ない。
都民ファーストは、一桁議席の可能性すら囁かれていた当初の予想よりも大きく票を伸ばした。しかし第一党を取るまでには勢力は回復せず、前回より10以上も議席を減らすことになった。
立憲民主党は議席を倍増させ、共産党も議席を上積みしたので、ここの共闘は一定の成果をあげたといえる。しかしながら、都議会過半数を狙えるだけの勢力には未だに至ってはいない。国政選挙で中心勢力として自民党と対決することになっている立憲民主党が今回の都議選で擁立したのは、わずか27人であったのだ。
この選挙で辛うじて勝者と呼べるのは、立候補者全員当選の記録を今回も伸ばした公明党ではないだろうか。
当日の出口調査では落選議員が出る可能性が示唆されていたものの、組織票が期日前に入ったことにより、公明党は前回までと同様、今回も23人全員を当選させている。一方、同じく低投票率に強いといわれている自民党は、今回は低調だった。なぜなのか。ひとつには、2009年と2017年の敗北、高齢化、コロナ不況などで、自民党を支持する組織が弱体化している可能性がある。
岸田から次期総裁への置き土産「憲法改正」は総選挙に向けた「裏金問題」隠しか 2024.09.11
人道支援団体を根拠なく攻撃してなぜか儲かる「誹謗中傷ビジネス」 2024.07.29
都知事選、蓮舫候補の「二重国籍」問題の事実関係を改めて検証する 2024.06.20
政治資金改革を時間稼ぎの「政局的な話」としか考えていない自民党 2024.05.17
「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令 2024.04.23
『オッペンハイマー』:被爆者イメージと向き合えなかった「加害者」 2024.04.11
日本で車椅子利用者バッシングや悪質クレーマー呼ばわりがなくならない理由 2024.03.27