コラム

自由に書いたらダメ? 米国留学や就活に備えSNSの発言に悩む韓国の人びと

2017年09月22日(金)20時31分

ビザ発給のためSNSでの過去の行動をすべてチェックした韓国人女性 (c) TV Chosun

SNSをめぐり、小学生の早期留学から博士課程に至るまで米国に留学する人が多い韓国ならではの悩み事が生まれた。最近韓国の複数のメディアが、「米国に留学したい場合はSNSに注意せよ」という内容の記事を掲載したからだ。米国の大学が留学生を受け入れるかどうか審査する際に、SNSのIDを提出させてどのようなことを書き込んだのか、どのような発言にいいね!を押したのかチェックするというのだ。

そういえば6月には米ハーバード大学がSNSでの発言に問題があるとして、この秋に入学予定だった新入生10人以上の入学を取り消したことがわかった。ハーバード大学新聞 "The Harvard Crimson" に掲載され、世界中で話題になった。

ハーバード大学新聞によると、2016年12月大学側が入学予定者用にFacebook上で設けた公式グループの中に、プライベートチャットグループができた。このチャットのやりとりの中で暴力や民族・人種差別を美化する発言をした人がいた。これを大学側が見つけ、少なくとも10人に入学許可取り消しを言い渡したという。記事によると、大学側は「合格者が道徳性や品性に疑問がある行動をした場合などを含め、大学には入学を取り消す権利がある」と説明したそうだ。またFacebookで同じグループにいた他の新入生たちは、大学側の入学取り消し決定に同意するとインタビューに応じていた。

韓国では、小学生の子供と母親が米国に留学、父親は韓国に残って送金係を務める「早期留学」をする家庭が多い。富裕層の間では遠征出産といって、子供を米国で生み米国の国籍を持たせてあげることがステータスのようになっているが、そこまでできない家庭は早期留学で子供を米国で教育させたがる。世界に羽ばたける人材に育ってほしいからだ。

ソウル市内には米国留学を斡旋する会社が数えきれないほどあり、毎日のように米国留学説明会を開催している。ここでも、保護者に時間をかけて「子供のSNSをチェックして、問題になりそうな書き込みは事前に削除すべき」と説明しているという。

プロフィール

趙 章恩

韓国ソウル生まれ。韓国梨花女子大学卒業。東京大学大学院学際情報学修士、東京大学大学院学際情報学府博士課程。KDDI総研特別研究員。NPOアジアITビジネス研究会顧問。韓日政府機関の委託調査(デジタルコンテンツ動向・電子政府動向・IT政策動向)、韓国IT視察コーディネートを行っている「J&J NETWORK」の共同代表。IT情報専門家として、数々の講演やセミナー、フォーラムに講師として参加。日刊紙や雑誌の寄稿も多く、「日経ビジネス」「日経パソコン(日経BP)」「日経デジタルヘルス」「週刊エコノミスト」「リセマム」「日本デジタルコンテンツ白書」等に連載中。韓国・アジアのIT事情を、日本と比較しながら分かりやすく提供している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがガザ空爆、48時間で120人殺害 パレ

ワールド

大統領への「殺し屋雇った」、フィリピン副大統領発言

ワールド

米農務長官にロリンズ氏、保守系シンクタンク所長

ワールド

COP29、年3000億ドルの途上国支援で合意 不
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 9
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 10
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story