没後40年、現代中国の市場経済優先に抵抗する毛沢東主義者
9月8日、中国共産党の内外を問わず、過去30年間の市場主義改革は行き過ぎであり、貧困などの社会格差や汚職を生んでいると考える左派(保守派)勢力にとって、9日に没後40年を迎える毛沢東主席は有力なシンボルとなっている。写真は同主席の肖像画の隣でポーズをとる男性。北京での毛沢東関連の美術展示会にて(2016年 ロイター/Thomas Peter)
紅衛兵の集団に手を振る毛沢東の姿を北京で初めて目にしたときのことを語りながら、王士吉氏は目に涙を浮かべた。毛沢東が階級闘争を宣言して「文化大革命」を開始した1966年のことだ。
「あのとき私は、毛主席のために自分の人生を捧げようと決意した」と元兵士の王氏はロイターに語った。「紅衛兵として生き、紅衛兵として死ぬこと、常に紅衛兵であり続けることを私は誓った」
王氏によれば、汚職から貧富の格差拡大に至るまで、現在中国が抱える問題はすべて、1970年代終盤に、毛沢東主席(1893─1976年)の死後に鄧小平が主導した歴史的な経済改革にまで遡ることができるという。王氏はこれを「修正主義」と呼ぶ。
「こうした悪影響を根絶するには、今のような民営化をやめるしかない」と王氏は言う。
中国共産党の内外を問わず、過去30年間の市場主義改革は行き過ぎであり、貧困などの社会格差や汚職を生んでいると考える左派(保守派)勢力にとって、毛沢東は有力なシンボルとなっている。
こうした人々は、9日に没後40年を迎える毛沢東を礼賛することで、現在の指導部と彼らが推進する市場志向政策に対する圧力をかけようとすることもある。
毛沢東は、現代中国の建国者として中国共産党から公式な敬意を捧げられており、人民元紙幣にはすべて毛沢東の肖像が印刷されている。だが、自身のイメージを現代化しようと、共産党が毛沢東の遺産を軽視したがっているのではないかと危ぶむ声もある。
当局者が否定しているにもかかわらず、左派過激主義のウェブサイトには、北京の中心部・天安門広場にある観光名所の毛主席記念堂が閉鎖、あるいは別の場所に移転されるのではないかという憶測が周期的に広がっている。