EU財務相、米との関税交渉で団結確認 報復の用意も表明

欧州連合(EU)財務相は11日に開いた会合で、トランプ米政権が打ち出している関税措置を巡り、団結して米国と交渉する姿勢を確認した。また、米国に対する報復措置の用意があることも明確にした。(2025年 ロイター/Yves Herman)
Jan Strupczewski Karol Badohal
[ワルシャワ 11日 ロイター] - 欧州連合(EU)財務相は11日に開いた会合で、トランプ米政権が打ち出している関税措置を巡り、団結して米国と交渉する姿勢を確認した。また、米国に対する報復措置の用意があることも明確にした。
トランプ大統領は2日、貿易相手国に対する大規模な関税措置を発表。措置が発動した9日になって、相互関税の国・地域ごとに設定した上乗せ部分を90日間停止すると明らかにした。ただ、一律10%の基本関税は維持した。
EU財務相が会合を開くのはトランプ氏の関税措置発表以降で今回が初めて。ユーロ圏財務相会合のドナフー議長は記者会見で「統一されたスタンスが必要との考えで一致した」と述べた。
欧州委員会のドムブロフスキス委員(経済担当)は記者団に対し、米国の関税措置が一時的なもので、これに対する報復措置が発動されない場合、欧州経済へのマイナスの影響は2027年までに域内総生産(GDP)0.2%にとどまると欧州委は試算していると述べた。
ただ、企業が関税措置を恒久的なものと認識し始めるか、多くの報復措置が発動された場合は、欧州のGDPは 同年までに0.5─0.6%押し下げられる恐れがあるとした。
米経済への影響は欧州よりも大きく、27年までのGDP押し下げ効果は楽観的シナリオの下で0.8─1.4%、深刻なシナリオの下では3.1─3.3%になると試算されている。
ドムブロフスキス氏は「こうした試算は米経済への信頼の一段の喪失を織り込んでいない」とし、織り込まれれば米国のGDPに対するマイナスの影響は膨らむと述べた。
ポーランドのドマンスキ財務相は「トランプ氏が発動を停止した90日間を賢明に使い、欧州にとって良好なディール(取引)を得なければならない」と指摘。EU財務相が米国に対する報復措置の用意があると明確にする中、ドイツのクキース財務相は交渉がうまくいかなければ、欧州は対応を協議することになると米国は認識する必要がある」と述べた。