コラム

伝説の記者ウッドワードの暴露本は、トランプ政権への挑戦状

2018年09月22日(土)13時20分

第2弾、第3弾もある?

この本に加え、ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙がトランプ政権「高官」による匿名の寄稿を掲載したことも話題を呼んだ。ホワイトハウスの「抵抗勢力」を名乗るこの人物は、トランプには大統領としての資質も道徳心もないと断じ、国を守るためにトランプの悪行を阻止する必要があると主張した。

ウッドワードはこれまでに9人の大統領を取材したが、トランプは最も現実から乖離した大統領だと主張する。ニクソンの場合、現実からの乖離が盗聴やスパイ行為、虚偽の発言に走らせ、最終的には大統領辞任につながった。トランプはニクソンよりもひどいと、ウッドワードは暗に示唆している。

任期途中で辞任した唯一の大統領を追い詰めたジャーナリストから、歴代で最も危険な大統領と名指しされる――トランプにとっては恐るべき前兆だ。

トランプは現在、ウッドワードの情報源やNYTの寄稿者の「犯人捜し」に躍起になっている。被害妄想がますます悪化しているようだ。

個人的には、ウッドワードのトランプ本は第2弾、第3弾と続きそうな気がする。もし2人目の大統領辞任となったら、レッドフォードは引退を撤回して再びウッドワードの役を演じるだろうか。

<本誌2018年9月25日号掲載>

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サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

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