コラム

「私は信じております」自民党の統一教会報告は逆効果だ

2022年09月20日(火)16時35分

自民党が本当に信頼を取り戻したいなら、必要なのは安易に信じるよりもあえて信じないこと、つまり慎重に疑う姿を示すことだろう。身内であってもフェアな調査ができるのか、人々はそれをこそ見ている。

茂木氏の言葉は、その姿勢が自民党にないことをはっきり示してしまった。

今回の点検を経て、自民党への信頼は回復どころか一層失われたのではないか。

これまで指摘されてきた問題の多くは、個々の議員が旧統一教会と関係を持ってきたこと、そしてその関係を隠したりうやむやにしたりしてきたことだった。だが、今やそれらの解明に躊躇する党自体にも、不信の目が向いてしまっている。

「厳正な対応を取る」とか、関係を断つことを「徹底する」とか、岸田首相が深刻な様子で意気込みを語れば語るほど、実際の行動の不十分さとの落差がどんどん広がっていく。安倍元首相と旧統一教会との関係についての調査を、亡くなっているから「限界がある」という不自然な説明で避け続ける姿勢も異様だ。

表情や言葉の重さで言行不一致は糊塗できない。軽さが際立つばかりだ。

<2022年9月27日号掲載>

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プロフィール

望月優大

ライター。ウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」編集長。著書に『ふたつの日本──「移民国家」の建前と現実』 。移民・外国人に関してなど社会的なテーマを中心に発信を継続。非営利団体などへのアドバイザリーも行っている。

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