- HOME
- コラム
- 湯川鶴章のテクノロジーフィクション
- アマゾン・エコー vs LINEクローバの戦いはこ…
アマゾン・エコー vs LINEクローバの戦いはこうなる
キラーはコミュニケーション
そのキラー用途とは、コミュニケーションになるのではないかと思う。
PC全盛時代は、ポータルや検索で幕を開け、最後はFacebookのようなソーシャルなツールが人気となった。スマホ時代は、簡単なアプリやゲームで幕を開けたが、最後はLINEのようなコミュニケーションツールが力を持った。
過去の傾向が続くのであれば、ボイス時代も、キラーアプリはコミュニケーション関連のものになるはずだ。
VoiceLabsのAdam Marchick氏も、「コミュニケーションやソーシャルな機能に関係するボイスアプリが、人気アプリになるだろう」と予測している。FacebookやSnapといったソーシャルのプレーヤーも、ボイスで何らかの動きを見せてくるはずだと言う。
関係者によると、AmazonはLINEに対して熱烈なラブコールを送ったという。Amazonもキラーアプリがコミュニケーションになると考え、LINEを有力パートナーとして取り込もうとしたのだそうだ。
LINE経営者も、キラーアプリがコミュニケーションになるという点においては同じ考えだった。だが、そのキラーアプリを開発するにはハードとソフトの両面が歩調を合わせる必要がある。そうでなければユーザーを魅了する新たな体験を作れないと考えた。なのであえてAmazonからのラブコールを蹴って、自らハードの開発に乗り出したのだという。
VoiceLabsは、ユーザー同士がコミュニケーションできる機能が年内にボイス・ファースト・デバイスに実装される、と予測している。
いよいよボイス・ファースト・デバイスがコミュニケーション機能を搭載するわけだ。
【参考記事】DataRobot使ってAI予測モデル4000個完成。リクルート社内で進む人工知能ツールの民主化
ボイスの時代のすみ分け
進化し続けるボイス・ファースト・デバイス。コミュニケーション機能の次は、AIの進化に伴う対話エンジンの精度の向上が見込まれている。Amazon Echoは、年内にはユーザーの雑談の相手もできるようになるだろう。
進化に伴い、影響を与える領域もさらに広がってくるだろう。現時点でその影響の範囲を見渡せる人はほとんどいないだろう。
ただ莫大な市場になることだけは、感覚的に理解できる。その莫大な市場がAmazonの手中に落ちるのを、世界のテック大手が指をくわえて見ているだけ。そんなわけはない。
Googleは、決してGoogle Homeを諦めないだろうし、そのほかのテック大手もボイス・ファースト・デバイス市場に参入してくるはずだ。
VoiceLabsは、年内にApple、サムスン、Microsoftの3社のうち少なくとも2社は、ボイスファーストの「魅力的な」製品を出すのではないかと予測している。
ただ同じような製品を出してもAmazonには追いつけない。なので各社、自分の強みを出して差別化を図ってくるはずだ。
Googleの強みは、メールやカレンダーのユーザーを数多く抱えていること。メールやカレンダーのデータをベースにしたパーソナライゼーションで、差別化してくるはずだ。
Microsoftは同様に、企業内のメール、カレンダーなどのユーザーを抱えている。ビジネス向けのボイス機能で勝負をかけてくることだろう。
Appleは、AppleTVや新型イヤホンのAirPodsを使って、娯楽の領域での覇権を狙ってくるかもしれない。
AppleとOpenAIの提携は何を意味するのか 2024.06.13
AIは今後も急速に進化する? 進化が減速し始めた? 2024.06.05
AI自体を製品にするな=サム・アルトマン氏からスタートアップへのアドバイス 2024.05.29
汎用AIが特化型モデルを不要に=サム・アルトマン氏最新インタビュー 2024.05.27
マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無料公開するのか」 2024.05.14
AIエージェントの時代はどこまできているのか 2024.05.07
生成AIでネット広告はどう変わるのか 2024.04.25