コラム

ウクライナ戦争は欧米と日本の「反ロ親中」思想が招いた

2022年03月16日(水)18時00分

欧米と日本の先端技術を窃取して強大化した中国は今、南シナ海に要塞を建設し、日本の尖閣諸島には毎日のように公船を乗り入れる覇権主義的示威行動を取っている。欧米と日本がロシアのみを危険視し、中国の放縦を許している背景には深刻な人種差別論も隠されているのではないか。その差別はスラブ民族蔑視と、「中華民族美化論」だ。

もっとも、習近平国家主席がひたすら標榜しているような「中華」という民族はかつて存在しなかったし、将来も形成されることはない。

ロシアによるウクライナ侵攻の出口はまだ見えない。口先だけの非難に終始する欧米諸国と日本による融和政策が続けば、次は台湾が中国の標的になるだろう。

「台湾解放」という大義名分を14億もの「人民」は支持しているし、ウォール街と東京のブルジョアジーが民主主義や平和より金儲けを優先しているのを中国は知っている。

台湾が陥落すれば、「琉球」も祖国に「朝貢」してくるし、「倭寇の巣窟」日本も投降せざるを得ない、と北京はモスクワ以上に壮大な戦略を練っているに違いない。

全てはロシア敵視と中国美化の苦い果実、という現状と将来像である。

プロフィール

楊海英

(Yang Hai-ying)静岡大学教授。モンゴル名オーノス・チョクト(日本名は大野旭)。南モンゴル(中国内モンゴル自治州)出身。編著に『フロンティアと国際社会の中国文化大革命』など <筆者の過去記事一覧はこちら

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