ウクライナ戦争は欧米と日本の「反ロ親中」思想が招いた
欧米のパンダハガー(親中派)が政治と経済の主導権を握り、ロシアはソ連の継承国として敵視し続けた REUTERS/Wu Hong/Pool
<ロシアが社会主義を捨てても邪険にされた一方で、中国の反人道主義を許したツケ>
ロシアがこのほど隣国ウクライナに侵攻したのは、欧米と日本が冷戦崩壊後に犯した戦略的ミスの結果だ。
その致命的な判断ミスは2つあった。
第1に、ロシアをソ連と同様、少なくともソ連の継承国家として敵視し続けた。第2次大戦後、世界は自由主義と社会主義の二大陣営に分かれ、互いをライバルだと認識した。
アメリカとその同盟国はソ連をリーダーとする社会主義圏と対峙して核兵器など軍事開発を競った。しかし、どちらかというと大戦争には発展せずにイデオロギー的論争を通じて相手を教化せんとした時代だったと、大方の現代史家は振り返る。
軍事面での強大化と思想的抑圧が社会の停滞をもたらし、社会主義計画経済の行き詰まりを改善できなかったために、ソ連は崩壊した。解体されたソ連邦の構成国家の一部を欧米はNATOに迎え入れて拡大したものの、最大の中核国家であるロシアを排除した。
ロシアからすれば、単に「鉄のカーテン」の外から蚊帳の外に追い出されただけでなく、社会主義思想を捨てても敵視されていると感じざるを得なかった。現にプーチン大統領はロシアもNATOに加盟する用意があると発言したが、民主主義陣営は冷笑に付すだけで歓迎しなかった。
敵視された以上、「ロシアを守れるのはロシア人自身と武器のみ」との方向に進むしかない。奪われた「領土」と「国民」を取り戻すのは当然だと思考するプーチンは2014年にクリミア半島を併合し、兄弟民族たるウクライナの「裏切り」を阻止すべく打って出たのが今回の侵攻だろう。
第2に、ロシアとは逆に中国に甘い政策はもっと致命的だった。
1991年以降、無血革命の形で平和裏に各共和国の独立を許したソ連とは対照的に、中国は民主化を求める市民と学生を武力で鎮圧し、反人道的異様さを世界に示した。多くの命が奪われたにもかかわらず、広大な市場に魅了された欧米諸国と日本は自由と人権という偽善者のマスクまで捨てた。
天安門事件後、ブッシュ米大統領は両手が人民の血で染まった鄧小平に制裁を科さない旨の書簡を送り、日本は天皇(現上皇)を訪中させ、形ばかりだった制裁ですら率先して解除した。欧米ではパンダハガー(親中派)が政治と経済の主導権を握りながら中国とのビジネスを推進して利益を貪ったし、日本は「日中友好」を宗教のように盲信し続けた。
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