コラム

「自己肯定感」の低い日本の若者を、どうやる気にさせるのか? 「自己効力感」に着目せよ

2019年10月29日(火)17時55分

うまくいかないのは他の何かの責任だと「他責」にしがちな若者とは真逆な思考を持っているから興味深い。

「他責」もそうだが「他勲」も一緒。このような思考のクセがある若者の言い分を、周囲は真に受けてはならない。3年も4年も結果が出ているなら、本物だ。結果が出る再現性の高い仕事をしている可能性が高い。

実際にAさんの行動履歴を追ってみたところ、いろいろなことがわかった。お客様の選定基準や、プロセスごとの行動スピード、そしてタイミングなど、見える化しづらい部分で、かなり同僚と異なるポイントを発見できた。

ちょっとした行動の「微差」だが、その「微差」の積み重ねで、お客様の信頼を勝ち取り、結果に結びつけてきた事実が垣間見えたのだ。

「自己効力感」の高め方

若者の自己肯定感が低いことを嘆いていても、はじまらない。

現場体験からも、「自己肯定感」よりも「自己効力感」のほうがコントロールしやすいのは明らかだから、まずはこちらを高めることに力を入れることを勧める。

先述したアルバート・バンデューラは、「自己効力感」の先行要因として以下の5つを挙げている。

1)達成経験......(自分自身で目標を達成した経験)

2)代理経験......(自分以外誰かの目標達成を観察した経験)

3)言語的説得......(自分にスキルや能力があることを言語的に説明・説得されること)

4)生理的情緒的高揚......(モチベーションがアップする生理現象)

5)想像的体験......(自分自身で目標達成することを想像すること)

これら5つをすべて意識するのは現実的ではないからポイントを2つに絞ると、(1)「達成経験」と(3)「言語的説得」を意識したい。現場に入っていると経営者やマネジャーが(4)生理的情緒的高揚にばかり意識を向けているのが気になる。なぜなら、そこではないからだ。

「やればできるのにモチベーションが低い社員がいる。どうすればモチベーションを高められるのか?」

と相談されることが多いが、そんなことより「達成経験」を積ませることだ。そしてその達成した要因を言語的に紐解き、ロジカルに「言語的説得」をすればいい。

これらの要素がうまく関連することで(5)想像的体験も増えて、「自己効力感」は高まっていく。「自己効力感」が高まることで、自分に対する意識も変わってくるだろう。

20191105issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

10月29日発売号は「山本太郎現象」特集。ポピュリズムの具現者か民主主義の救世主か。森達也(作家、映画監督)が執筆、独占インタビューも加え、日本政界を席巻する異端児の真相に迫ります。新連載も続々スタート!

プロフィール

横山信弘

アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。全国でネット中継するモンスター朝会「絶対達成社長の会」発起人。「横山信弘のメルマガ草創花伝」は3.5万人の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『営業目標を絶対達成する』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者。著書はすべて、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。年間100回以上の講演、セミナーをこなす。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売り。最新刊は『自分を強くする』。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story