コラム

「自己肯定感」の低い日本の若者を、どうやる気にさせるのか? 「自己効力感」に着目せよ

2019年10月29日(火)17時55分

このように論理的に言えば反論しづらい。よほどひねくれていない限り、「たしかに失敗は相変わらず多いが、でも成功体験も増えている気がする」と思いなおすだろう。

「自己肯定感」と「自己効力感」の組合せ4パターン

「自己肯定感」と「自己効力感」は、もともとの性格によって左右されることも多い。現場で支援をさせていただいていると、「自己肯定感」が低くても結果を出す人、ガンガン出世する人もいる。

この2つの概念は4つの組合せがあり、その4パターンを知ることで、その人の性向を知る手掛かりになる。ぜひ確認してほしい。

以下に4パターンを記し、言いがちなセリフも付記した。

1)自己肯定感【×】& 自己効力感【×】

「自分は営業のセンスがない、だから新しくお客様を任されてもどうせうまくいかない」

2)自己肯定感【×】& 自己効力感【○】

「自分は営業のセンスがないのに、いつもなぜかうまくいく。今期の目標は昨年よりさらに高くなったが、なんだかんだいって達成するだろう」

3)自己肯定感【○】& 自己効力感【×】

「自分は能力がある。営業のセンスもある。にもかかわらず、何をやってもうまくいかない。自分はいつも不運だ」

4)自己肯定感【○】& 自己効力感【○】

「自分は営業のセンスが高い。だから今期の高い目標も、達成できるに違いない」

どうだろうか。4パターンの違いを、何となく理解してもらえただろうか。

ベストはもちろん自己肯定感も自己効力感も高いことだ。自分の力を肯定しているからこそ、新しい目標も達成できるだろう、新しいことをチャレンジしても、自分ならできるに違いないと受け止める。

健全な考え方だ。しかし、こういった若者は滅多にいない。

自己肯定感が低く、自己効力感が低い若者は、ある一定数いる。こういう若者は、なかなか這い上がれないだろう。

自己肯定感が高いのに、自己効力感が低い若者は「他責」にしがちだ。こういう若者も少なくない。

見逃してはならないのが、自己肯定感が低く、自己効力感が高い若者だ。意外に多いので、上司は注意が必要だ。

Aさんの例

私の支援先で、Aさんという若手の営業がそうだった。Aさんは、どんなに結果を出しても、

「たまたまお客様に恵まれただけです」

と主張する。どうやら本気で思い込んでいるようだ。社長に、「3期連続目標達成しているが、その秘訣は?」と尋ねられても、

「先輩が支援してくれたおかげです。私はほとんど何もしていません」

と言ってしまう。自己肯定感が低いので、たとえ結果が出ても自分ではない、他の何かのおかげ(たとえば、商品のおかげ、上司のおかげ、環境のおかげ)などと捉える。「他勲(たくん)」のクセがあるのだ。

プロフィール

横山信弘

アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。全国でネット中継するモンスター朝会「絶対達成社長の会」発起人。「横山信弘のメルマガ草創花伝」は3.5万人の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『営業目標を絶対達成する』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者。著書はすべて、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。年間100回以上の講演、セミナーをこなす。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売り。最新刊は『自分を強くする』。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

豪ANZ、年間利益14%減 特別損失と利ざや圧迫で

ワールド

イスラエル大使暗殺を阻止、イランが昨年末以降計画=

ビジネス

イスラエル格付け見通し引き上げ、ガザ停戦受け=S&

ワールド

決定済みのPB目標破棄せず、来年6月に新指標を検討
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 2
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一撃」は、キケの一言から生まれた
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 9
    「爆発の瞬間、炎の中に消えた」...UPS機墜落映像が…
  • 10
    「豊尻」施術を無資格で行っていた「お尻レディ」に1…
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 8
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story