コラム

深刻な「人手不足」時代に、中小企業が絶対にやってはいけないこと

2019年08月19日(月)14時00分

「採用基準」は絶対に下げてはならない(写真はイメージ) TAGSTOCK1-iStock

<人手不足に苦しむあまり、安易に採用基準を下げてしまう姿勢が中小企業にとって命取りになりかねない>

急増するキーワードとは?


「突然ですが、これらの数字って、何を示しているかご存知ですか」

これまで約1,000社を超える採用支援をしてきた、当社コンサルタント酒井利昌が、私にこう尋ねました。

日本経済新聞社の記事(紙面および電子版)に登場した、あるキーワードの件数だとのこと。


2010年 76件
2011年 89件
2012年 193件
2013年 299件
2014年 1,264件
2015年 984件
2016年 1,328件
2017年 3,274件
2018年 4,336件

2010年ごろから増えはじめ、ここ数年で激増しているキーワードのようですが、わかりません。適当に「タピオカ」と私は答えました。当然不正解。正解は、「人手不足」だそうです。


「人手不足って、2010年ごろから注目されたの?」

「そうです。2010年ごろは、海外の人手不足に関する記事ですね。国内では介護人材不足やIT人材不足の記事でした」

2011年から2012年にかけては、東日本大震災の被災地での記事がこれに加わり、2012年から2013年ごろから飲食業など他業界にも人手不足感が拡がったとのこと。

そして2014年以降は、さまざまな業界で人手不足感が高まっていることが、キーワード件数の飛躍的増加からイメージできます。

いまや「人手不足」という言葉が、日本中のいたるところで頻繁に飛び交っています。

採用コンサルタントとしての経験が豊富だからか、酒井はこう嘆きます。


「私が最も悲しいのは、『人手不足倒産』が急増していることです。本当に、いたたまれません」

「採用さえうまくいけば」という危険な発想

帝国データバンクが2019年1月に行った「人手不足」に関する調査によると、正社員が不足していると回答した企業の割合は53.0%。

1年前の調査から1.9ポイント増加しました。

不足している業種上位は、次の通りです。


1位:放送(76.9%)
2位:情報サービス(74.8%)
3位:運輸・倉庫(71.9%)
4位:建設(67.8%)
5位:飲食店(65.9%)

非正規で不足している業種上位は、


1位:飲食店(84.1%)
2位:飲食料品小売(67.7%)
3位:メンテナンス・警備・検査(61.7%)
4位:各種商品小売(57.5%)
5位:娯楽サービス(57.4%)

という結果。

この事実からしても、人手不足が深刻なレベルに達していることは、誰でもわかります。

プロフィール

横山信弘

アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。全国でネット中継するモンスター朝会「絶対達成社長の会」発起人。「横山信弘のメルマガ草創花伝」は3.5万人の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『営業目標を絶対達成する』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者。著書はすべて、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。年間100回以上の講演、セミナーをこなす。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売り。最新刊は『自分を強くする』。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ニデック、信頼回復へ「再生委員会」設置 取引や納品

ビジネス

スイス中銀の政策金利、適切な水準=チュディン理事

ビジネス

アラムコ、第3四半期は2.3%減益 原油下落が響く

ビジネス

日立、日立建機株所有を18.4%に引き下げ 持ち分
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつかない現象を軍も警戒
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 10
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story