日本のTOEFL iBT平均スコアは73......韓国・中国より10以上も低い理由
日本が目指すCEFR A2というのは低すぎる目標(写真はイメージ) kazuma seki-iStock
<日本が目指す高校卒業時の英語力は、世界標準のガイドラインで6段階中、下から2番目のレベル......2020年に英語教育改革が実行されたが、この改革の重点には問題がある>
2011年から2021年の間に、世界中で英語を話す人の数は、約10.5億人から13億人(英語レベルを低めに見積もれば15億人)に増え、世界人口の17%を占める規模に膨れ上がっています。10年間で約2.5億人の増加であり、他のどの言語よりもはるかに高い上昇率です。
英語人口の増加に伴い、英語の技能レベルもひと昔前よりも高くなっています。TOEFL iBTのスコア推移を見ると、2006年の世界平均スコアは79でしたが、2020年には87まで上昇しています。
英語が苦手とされていたアジアの国々の英語力も年々向上しており、2020年のTOEFL iBT国別平均スコアでは、台湾が85、韓国が86、中国が87と、ほぼ世界平均レベルまで英語力を上げてきています。ちなみに日本は73で、じわじわとスコアを上げてきてはいますが、世界のスピードに追いつけていない状況です。
国際基準の平均的な英語力はCEFR B2
英語をオフィシャル言語とする国も増えています。2022年現在、世界195ヶ国語のうち67カ国(34%)で英語は公用語・準公用語になっています。さらに言えば、英語をオフィシャル言語としていない国、たとえばノルウェー、デンマーク、オランダなど、北欧やヨーロッパの国々では大多数の人が英語を話せます。
グローバル化の拡大によって、世界では、英語が話せることは「当たり前」になりつつあります。世界中のほとんどの国や地域で英語が通用し、インターネットで発信される情報の6割以上は英語です。もはや英語ができなければ、教育、研究、医療、ビジネス、テクノロジーなど、あらゆる面で世界から遅れをとってしまうのです。
グローバル社会における英語の重要性が高まる中、国際社会の一員として、私たち日本人はどのレベルの英語力を目指し、英語とどう付き合っていくべきなのでしょうか?
現在、文部科学省が目標としている英語力は高校卒業までに「CEFR A2/英検準2級相当」です。CEFR(セファール)は言語力を評価する世界標準のガイドラインです。A1からC2まで6段階にレベルが分かれており、A2は下から二番目です。
CEFR A2レベルは、海外旅行で困らない程度の英語力ですが、英語を用いてビジネスをしたり、学術研究に活かしたり、雑誌・ウェブサイト・映画などの英語メディアを楽しんだり、英語話者と信頼関係を築いたりするには不十分です。国際社会で通用する英語力は、TOEFL iBTであれば世界平均スコアである87前後、CEFRであればB2レベルと考えるのが妥当ではないでしょうか。
世界標準から見ると日本が目指すCEFR A2というのは低すぎる目標です。このように言うと、「日本人は英語が苦手だから世界レベルを目指すのは無理だ」と思うかもしれません。しかし、韓国は英語の目標レベルをCEFR B2に設定することで英語力底上げに成功しているのです。