コラム

G7サミット「経済の強靭化」で日本が果たす役割

2021年06月21日(月)16時20分

その上で、菅総理はサプライチェーン問題の更に先を見据えた2兆円の「グリーンイノベーション基金」創設を支持しており、今後10年間の支援体制の構築開始に踏み切っている。上述の医薬品、半導体、レアアースの問題が解決した後、次に課題となるのはリチウムイオン電池などの環境新技術に焦点が移ることは自明である。これらが事業者への単純なバラマキでなく、減税や規制廃止と組み合わされた戦略的投資となることに期待する。

クリティカル・サプライ・フォーラムに日本人が関与する意義は大きい

日本はクリティカル・サプライ・フォーラムの事務局機能を担う国として、その国際的な役割を担うに相応しい。中央省庁の人事プロセスに関して、国際機関ポストへの就任を積極的に促す可能性についての報道もあったが、同フォーラムのような極めて重要な情報が集約する仕組みに日本人が関与する意義は大きい。

対中国の文脈で欧米諸国が団結しつつある状況を利用し、日本の国際的影響力拡大を図ることは国益に直結するものであり、自由で開かれた国際社会を維持していくためにも必要なことだ。今後も重要な取り組みを地道に推進する菅外交の展開に注目していきたい。

プロフィール

渡瀬 裕哉

国際政治アナリスト、早稲田大学招聘研究員
1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。日米間のビジネスサポートに取り組み、米国共和党保守派と深い関係を有することからTokyo Tea Partyを創設。全米の保守派指導者が集うFREEPACにおいて日本人初の来賓となった。主な著作は『日本人の知らないトランプ再選のシナリオ』(産学社)、『トランプの黒幕 日本人が知らない共和党保守派の正体』(祥伝社)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)、『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 ”トランプorバイデン”アメリカの選択』(すばる舎)

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