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「誰かに認められたい」10代の少女たちの危うい心理
離婚した両親から無視されて寂しさを抱えていたエヴィは、親友の兄の気をひこうとするが、彼だけでなく親友すら失ってしまう。孤立した14歳の少女は、公園で、誰の目も気にせず、自由奔放にふるまう少女たちを目にして心惹かれる。エヴィが特に魅了されたのは、リーダー格で19歳のスザンヌだった。
エヴィは、自分をのけ者にする学校の同級生よりずっとクールな年上の少女に自分のことを覚えてもらい、特別扱いされることに誇りや喜びを感じる。そして、スザンヌに誘われるまま、ヒッピーの少女たちが属するコミューンに出入りする。
自由と愛をモットーにするその集団のリーダーは、ラッセルという大人の男性だった。少女たちよりずっと年上のラッセルが、メンバーの少女たち全員と性的な関係を持っているらしいことに気づいて、エヴィは違和感を持つ。けれども、スザンヌがラッセルを崇拝しているので、彼女に認められたいばかりに、ラッセルの数々の要求に従うようになる。
筆者と同年代の読者は、ここまで読んだだけでチャールズ・マンソンとシャロン・テート殺人事件を連想するはずだ。
【参考記事】大人になっても続くいじめの後遺症
事件は、ヒッピー・ムーブメントのさなかに起こった。1967年の夏、サンフランシスコのヘイトアシュベリー地区にヒッピーファッションに身を包んだ10万人の若者が集まった。ベトナム反戦運動や反政府活動と結びついたこのムーブメントは、自由と愛をモットーにしたもので、有名なミュージシャンや詩人も参加し、「Summer of Love」と呼ばれた。
だが、ヒッピーカルチャーは、ポジティブなことばかりではなかった。LSDなどの幻覚剤が乱用され、女性が見ず知らずの男性にタダで性交渉を提供することが、あたかも高尚な「愛の自由」の表現のように扱われた。
チャールズ・マンソンのカルト集団も、Summer of Loveの熱気の中で生まれた。獄中でデール・カーネギーの『人を動かす』やサイエントロジーの洗脳方法を学んだマンソンは、出獄すると、そのテクニックを使って心理的に脆弱な少女たちを狙ってリクルートした。
マンソンをビーチボーイズのデニス・ウィルソンに繋げたのも、信者の少女たちだった。ウィルソンがヒッチハイクをしていた少女2人をひろったところ、彼女たちに加えて17人の少女らが家に住み込んでしまい、彼女たちが「私たちのグル」としてマンソンを紹介したのだ。
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