コラム

わさび田の清水を求めて 「日常の観察者」として今日も歩く

2020年11月12日(木)14時45分

◆豊科の市街地から清流の里へ

0829052.jpg

0829056.jpg

0829059.jpg

0829051.jpg

豊科の市街地

平成の大合併で生まれた安曇野市の一角をなす旧豊科町の市街地を抜けた。古びたガレージ、立派な山門がある寺院、こぢんまりとした町角の商店街。令和の今の暮らしと、昭和・平成の名残が共存するかわいい町だ。郊外の田園地帯の一本道に出ると暑さはピークに達し、冷たい湧水に一刻も早く出会いたくなった。

ほうほうの体でたどり着いた「安曇野わさび田湧水群」の流れは、果たして10秒も足をつけていられないくらい、キリリと冷たい清流であった。その急速冷凍で、熱中症寸前の体が生き返る。案内看板によれば、この地から湧き上がる水は、安曇野の扇状地に染み込んだ北アルプスの雪解け水で、真夏でも水温が15度を超えることはないという。環境省の「名水百選」に選ばれていて、透明度は限りなく高い。1日70トンという豊富な湧出量を誇り、下流に広がるわさび田やニジマスの養殖池に水を供給している。

わさびは、こうした冷たい清水がないと育たない。2013年に和食が世界遺産登録されたが、この清流を眺めていると、こんな日本固有の清純な自然風土が残されていてこそ、受け継いでいける食文化なのだと実感する。

0829068.jpg

清流の源、「安曇野わさび田湧水群」

0829071.jpg

0829070.jpg

湧水が流れ出す水路(万水川)に沿って、わさび田が広がるエリアにある大糸線・穂高駅でゴール。駅前の穂高神社に立ち寄り、旅の終盤の無事を祈願した。次回は、実際にわさび田を訪れて、和食の本質に迫りたい。

0829075.jpg

水路に沿って穂高駅方面へ

0829086.jpg

穂高駅前の穂高神社に立ち寄ってゴールした

map3.jpg

今回歩いたコース:YAMAP活動日記

今回の行程:北松本駅 → 穂高駅(https://yamap.com/activities/7495767)※リンク先に沿道で撮影した全写真・詳細地図あり
・歩行距離=17.6km
・歩行時間=7時間23分
・上り/下り=61m/98m

プロフィール

内村コースケ

1970年ビルマ(現ミャンマー)生まれ。外交官だった父の転勤で少年時代をカナダとイギリスで過ごした。早稲田大学第一文学部卒業後、中日新聞の地方支局と社会部で記者を経験。かねてから希望していたカメラマン職に転じ、同東京本社(東京新聞)写真部でアフガン紛争などの撮影に従事した。2005年よりフリーとなり、「書けて撮れる」フォトジャーナリストとして、海外ニュース、帰国子女教育、地方移住、ペット・動物愛護問題などをテーマに執筆・撮影活動をしている。日本写真家協会(JPS)会員

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

香港大規模火災、死者159人・不明31人 修繕住宅

ビジネス

ECB、イタリアに金準備巡る予算修正案の再考を要請

ビジネス

トルコCPI、11月は前年比+31.07% 予想下

ワールド

プーチン氏、一部の米提案は受け入れ 協議継続意向=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 2
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 3
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 4
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 8
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 9
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 10
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story