コラム

平仮名という優れたシステムや社会格差の小ささ――日本の教育が良い結果を出す理由

2024年06月20日(木)18時13分
西村カリン(ジャーナリスト)

フランスの教員はストライキの権利があるし(日本の公立学校教員は争議行為を禁止されている)、残業代も支払われる。授業に関する自由度も高い。日本の小学校では教科書に基づいて教えるのは当然なことだが、フランスの小学校1年生の教員の3割は教科書を使わずにフランス語を教える。教科書を使うかどうか、使うとしてもどの教科書にするかはそれぞれの選択だ。その点に関しては賛否両論があるけれど、自由がないなら教員になることに興味はないと思っている人がほとんどだ。

日本とフランスの共通点は、教員の平均年齢の上昇傾向と人材不足。若者にとって教員はもはや魅力的な職業ではない。日本の場合は長時間労働が主な原因であると考えられるが、フランスでは仕事の大変さに比べて給料が低いことが問題だ。社会での教員の立場も数十年前に比べれば大きく落ちてしまった。昔より尊敬されない、あるいは危険な仕事になってしまったし、生徒から暴言や暴力を受ける教員も少なくない。

今回の本で指摘したのは「フランスの教育がすごい」でも、「日本の教育がすごい」でもない。日本の学校の良いところはそのままに、改善できるところは参考にしてほしい、ということだ。

magTokyoEye_Nishimura.jpg西村カリン
KARYN NISHIMURA
1970年フランス生まれ。パリ第8大学で学び、ラジオ局などを経て1997年に来日。AFP通信東京特派員となり、現在はフリージャーナリストとして活動。著書に『不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人』など。Twitter:@karyn_nishi

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