トイレにも同行...G7で記者を厳しく監視するのは何のため?
これは4月15日のことで、ちょうど和歌山市を選挙の応援で訪ねていた岸田文雄首相が、演説直前に爆発物を投げ込まれた日だった。
私はそのニュースを見て、警備体制の問題がさらに気になった。G7関係閣僚会合を取材する記者は事前に調査を受けて記者証をもらい、荷物のチェックを受けているにもかかわらず、全ての動きが監視される。
一方で、首相の街頭演説の会場では爆弾を持った一般人が首相の10メートルほどまで近づくことが可能だった。果たしてどちらが危険だろう?
「警備体制が完璧」とG7諸国に示すことが目的なら、監視し、その行動を阻むべき対象は記者ではない。報道の自由を守りながら参加者の安全を確保することが、民主主義の国のあるべき警備体制だろう。
最後の合同記者会見の場でも、官僚が海外マスコミを恐れていることは明らかだった。官僚の司会者が選んだ質問者は3人とも日本メディアの日本人記者で、2人は事前に決まっていた。
私が最前列に座って手を挙げたところ、西村康稔経済産業相が司会者に「海外メディアにしましょう」と言ったにもかかわらず、司会者は後でと言い、その後は「もう時間がありません」と質問を断った。
メディアコントロールと言わざるを得ない。日本のマスコミは、こうした状況も平気なのだろうか?
西村カリン
KARYN NISHIMURA
1970年フランス生まれ。パリ第8大学で学び、ラジオ局などを経て1997年に来日。AFP通信東京特派員となり、現在はフリージャーナリストとして活動。著書に『不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人』など。Twitter:@karyn_nishi
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