賃上げできない日本からは、外国人も減っていく
この年末年始、私は東京である中国人富豪と会った。かつて日本で働いていたが、その後帰国し、不動産や飲食のビジネスで成功した人物だ。
今回は投資のために訪日したというこの富豪、日本が好きなバツイチの独身で、日本人女性と結婚したいとのたまった。その彼によれば、いま中国のセレブたちにとって「理想は中国で稼いで日本で消費すること」なのだという。
一方、地方在住で東京に来ていた50代後半の日本人男性にも会う機会があった。
この男性、以前はガソリンスタンドで働き、深夜残業やクレーム対応もしていたが、ストレスが多い上、手取り18万円という安月給だったので退職。今は無職で収入は月15万円の親の遺族年金だけだが、生活に不自由はないという。
そんな両極端の生活を送っている人物に会い、つい考え込んでしまった。
この30年、日本は物価が安いため賃金が低くてもなんとか生活が成り立っていた。だがその間に他国は発展し、移民や出稼ぎ労働者にとって魅力のない低賃金国になりつつある。
賛否両論はあるが、少子化を考えると、人工知能(AI)など代替技術がいかに発展しても外国人労働者の受け入れは避けて通れない道だろう。それを抜きにしても、日本人は既に物価上昇で生活を脅かされている。
賃上げが必要だと、誰もがいま口をそろえて言っている。その声に政府と企業はどう応えていくのか。その対応に日本の今後の成長と安定が懸かっている。
周 来友
ZHOU LAIYOU
1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院修了。通訳・翻訳の派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレント、YouTuber(番組名「周来友の人生相談バカ一代」)としても活動。
2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む
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