そもそもビジョンがない?──「政策」ばかりで「目的」のない選挙戦の不思議
翻って「日本」は、英語の正式国名もJapanのみ。どんな国なのか、何を理念にしているのか、どういう政治体制なのか、国名からは全く分からない。
私はこのシンプルな国名が大好きだ。押し付けがましくない感じ、謎めいた感じは、多くの外国人にとってはクールで興味を引くのだと思う。それはインバウンドで外貨を稼ぐためには役立つだろう。
だが国民としてはあまりクールなのも考えものである。日本がどういう国で、どんな姿を目指しているのか、日本人にさえよく分からないのだから。
このあたりで日本は国家としての理念やビジョンを打ち立ててもいいのではないだろうか。「みんなが幸せ」とか「暮らしを守る」とかいう、ぼんやりとしたスローガンではなく、1世紀たっても古くならない、国としてのありたい姿。
それは理想論かもしれないが、理想を追求するのが世界各国の政治の一般的な姿だ。
理想を実現するために政策が立案されて公約にされるべきだし、選挙民も投票に行こうという気になるのである。だが、理想というゴールが見えず、目先の問題の解決案ばかりの公約では、投票率は今回も上がらないのだろうなと思うばかりである。
石野シャハラン
SHAHRAN ISHINO
1980年イラン・テヘラン生まれ。2002年に留学のため来日。2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。YouTube:「イラン出身シャハランの『言いたい放題』」
Twitter:@IshinoShahran
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