コラム

日本人はたぶん知らない、日本の定期券がちょっと残念な理由

2020年09月23日(水)17時50分
トニー・ラズロ

定期券は約7600円と安く、しかも特典付き。ありがたいことに月~金曜日の夜8時~深夜3時、そして土日祝日には、なんと同伴者が無料で乗車できるのだ(大人1人+14歳以下の子供3人まで)。おかげでわが家族はベルリンのありとあらゆる場所に行き、街を知り尽くすことになった上、各界隈で買い物をしたので幅広い経済的貢献もした。

公共交通網は一般に、安全性、心地よさ、正確さなどにより評価される。それにもうひとつ、「計画を柔軟に変えられるか」という評価軸もある。この点で日本はどうだろうか。多くの人は「追加料金」というコストに抑えられ、グルメ的好奇心を満たすために定期券ルート外の界隈にそう足を延ばせていないのでは?

「ゾーン制を日本にも」と提案してみたところで、それができない理由の大洪水に遭いそう。だから何も抜本的改革を申し出るつもりはない。

その代わりに、「Go Toイート」を実施している間だけ、平日のアフター5と土日祝日のみ、定期券を持つ人は多くのエリア(東京の場合、23区内)で自由に乗り放題にすればいい。そしてベルリンみたいに、家族や恋人が同伴者として無料で乗車できるようにしてほしい。

料理を提供する人、それを楽しむ人、両方ともお幸せに!

NW_Tony_Laszlo.jpgトニー・ラズロ
TONY LÁSZLÓ
1960年、米ニュージャージー州生まれ。1985年から日本を拠点にジャーナリスト、講師として活動。コミックエッセー『ダーリンは外国人』(小栗左多里&トニー・ラズロ)の主人公。

<2020年9月15日号掲載>

【関連記事】デービッド・アトキンソン「日本の観光業復活は『検査』に懸かっている」

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