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「現代の奴隷」が20万人以上も...東南アジア特殊詐欺、虐待の日々から逃げ出す「唯一の脱出法」とは?

VICTIMS AND PERPETRATORS

2025年4月25日(金)17時09分
イバン・フランチェスキーニ(豪メルボルン大学講師)、リン・リー(ベネチア・カフォスカリ大学博士号候補生)、マーク・ボー(リサーチャー、東南アジア在住)

空から見たカンボジア南部シアヌークビルの特殊詐欺集団の施設

空から見たカンボジア南部シアヌークビルの特殊詐欺集団の施設 ROUN RY

多くの場合、こうした拠点はオンライン詐欺用に建設されたもので、オフィス、寮、店舗、娯楽施設などの設備が整っている。カジノに見せかけた施設やその近隣のビル、あるいは公認カジノの上層階で活動している例もある。アパートやマンションを転用するケースもある。

私たちはメディアの報道、裁判所や警察の記録、暗号化通信アプリのテレグラムの書き込み、被害者の証言からカンボジア、ミャンマー、ラオス、フィリピンで500以上の詐欺拠点を特定した。実際にはさらに多くの施設が存在するとみられる。


これらの拠点で行われる詐欺の手口は多岐にわたる。悪名高い「豚の屠殺」詐欺(SNS上でターゲットに接触して信頼させ、大金を搾り取る)、警察などを装って被害者をだます「官憲なりすまし」詐欺、偽の投資話や融資の申し出、いわゆる「ロマンス詐欺」や性的脅迫、電子商取引詐欺......。

昨年のある調査によると、主に東南アジアの詐欺集団が使う暗号通貨口座に過去4年間で750億ドル以上が送金された。

詐欺の加害者には自らの意思で仲間になる者も多いが、偽の求人広告にだまされたり親戚や友人に裏切られた人、誘拐・人身売買の犠牲者もいる。自発的に詐欺に加わった後、逃げようとして窮地に陥る者もいる。

いずれにせよ、今では数万~数十万単位の人々が身分関係書類を取り上げられ、暴力や虐待が日常茶飯事の環境から脱出できずにいる。

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タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

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