トランプも恐れる「厄介な事態」に?...イスラエル・トルコが虎視眈々と狙う「新生シリア」で何が起きるのか
ALLIES COLLIDE: WHAT NEXT?
今年3月初め、シリア西部で暫定政権の治安部隊が、アサド家が属していたイスラム教シーア派の分派・アラウィ派の民間人を多数殺害。
マルコ・ルビオ米国務長官は報道を受け、「人々を殺した過激なイスラム主義のテロリスト」を強く非難し、「少数派虐殺の加害者の責任を追及する」ようシリア暫定政権に求めた。
英NGOシリア人権監視団は1400人余りの死亡を確認し、大半はアラウィ派の住民だった、と報告した。数千人が、アサド政権の重要な後ろ盾だったロシアが引き続き駐留するシリア国内の軍事基地に避難している。
「少数派の保護」を隠れ蓑に
「トルコはシリアが分割されないことを望んでいる。彼らはシリア全体を併合するか、トルコの県にしようと狙っているからだ」と、SDFの政治団体であるシリア民主評議会(SDC)のリアド・ダラール顧問は語る。
「イランは、イスラエルがヒズボラをほぼ壊滅させ、アサド政権が崩壊した後にシリアから撤退したが、復帰の機会をうかがっている。そのために『イスラム的』とも称される抵抗勢力、つまり、アサド政権の残党や支持者の混成部隊を支援する可能性がある」
「ロシアは、フメイミムの空軍基地やタルトゥースの海軍基地などシリアにおける権益を保持したいと考えており、シリアとの友好関係を回復させようという動きを見せている」と、ダラールは続ける。
「イスラエルはシリアが分裂した国家として、少数派国家の兄貴分になるような状態を望んでいる」