トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてきた3つの確実
DEALMAKER OR DESTROYER?
いわゆる「アメリカ例外主義」は、10%の関税とエコノミストの悲観論を今後もはねのけられるのか。そして政治的には、共和党は経済問題での伝統的な優位性を失い、米議会の少数派に逆戻りしていくのか。
エリート層はおおむねトランプ関税に否定的だ。評論家のデービッド・ブルックスはこう指摘する。
「愚かさの本質的特徴は自己満足と、自分の考えの欠陥を認識できないことにある。トランプはそれを体現する人物だ。(関税に対する)アプローチが予想どおりの大混乱を招くと、一貫したプランを欠いたまま前言を撤回し、手のひらを返し、衝動的に圧力に反応した。こうした愚かさは数十年間の無関心と勉強不足、事実への鈍感さが引き起こした結果だ」
予想外に成功する可能性も
だが実際には、まともなエコノミストの大半の予測より良い結果になるかもしれない。無教養な「マッドマン(何をするか分からない非常識な人物)」というトランプの評価は、交渉の場で有利に働く可能性がある。経済学に対するトランプの無理解が世界経済全体を崩壊させることを恐れ、他国の指導者は矛を収めてトランプに従うかもしれない。
私がこの10年、本誌コラムでトランプについて書いてきたテーマの1つは、誰もが政治的破滅を予想する状況でも生き延びる特殊能力だ。アメリカの本質は成長と革新と、外国からの投資に開かれた国であり続けることにある。「経済的な壁」で囲まれたアメリカはアメリカではない。