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「サブスタック」の成長が止まらない...アメリカ発・定期購読型メルマガの正体

Jounalism: Unplugged

2025年4月17日(木)10時12分
キャサリン・ファン(本誌記者)
アメリカ発の定期購読型メルマガ配信プラットフォーム「サブスタック」の成長傾向が止まらない

既に利用者5万人がニュースレターなどを配信して収益化している GABBY JONESーBLOOMBERG/GETTY IMAGES

<従来のメディアにも、SNSにも失望した人々。そのなかで、トランプ効果の追い風を受けて注目を集めたのが、配信サービス「サブスタック」だった──。読者との接点を失ったジャーナリストたちが、「命の綱」として選んだ新たな活路とは>

記者として1期目のドナルド・トランプ米大統領と激しくやり合ったジム・アコスタが2025年1月、20年近く務めたCNNを退職した。

数カ月後の今、彼は「サブスタック」のプラットフォームから、28万人以上の有料購読者に向けてニュースレターや動画を配信している。


「コンタクトした時点では、アコスタはサブスタックを知らなかった。それでも彼はうちを独立のチャンスとみた」と、サブスタックで政治部門を統括するキャサリン・バレンタインは振り返る。

別のテレビ局に転職するより独立し、ニュースレターを発信することを選んだアコスタの決断には、今のジャーナリズム界の共通認識がうかがえる。従来のメディアは崩壊しつつあり、個人が自力で道を切り開く時代が来たのだ。

MSNBCで冠番組を持っていたメディー・ハサンもニューヨーク・タイムズ紙の論説委員だったバリ・ワイスも、サブスタックに拠点を置く。大御所ダン・ラザーやX(旧ツイッター)で政治関連の動画を投稿し100万近いフォロワーを持つアーロン・ルパーも、ここから発信している。

「ジャーナリストはSNSに失望している。ツイッターやインスタグラムでは露出が制限されるので、読者を確保するのが非常に難しい」と、バレンタインは説明する。

「そこで彼らは、著作権を自分で所有し著作物を直接読者に届ける方法を模索するようになった。サブスタックで配信を始めて定期購読の威力と報酬の大きさを知り、この手があったかと驚いている」

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