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関税を擁護していたくせに...トランプの太鼓持ち・米保守系TV局の「手のひら返し」とは?

WHY THE SUDDEN REVERSAL?

2025年4月16日(水)15時30分
デービッド・マック(スレート誌ライター)

かすかに残っていたファクトチェックの役割は、FOXビジネスの上級特派員チャーリー・ガスパリーノに託された。「私はトランプが世界を出し抜いたと思いたい。私はアメリカ市民であり、大統領を支持しています」と前置きした上で、彼は「でも実際に起きたのは、そういうこととは関係ありません」と言った。

ガスパリーノの取材は、トランプ政権が米国債市場の「崩壊」におじけづいたことを示唆していた。国債市場の崩壊は投資家が米経済の「基盤」に対する信用を失いつつある兆候だと、彼は指摘した。


売却目的で米国債を買う人々に国債を売ることができなくなれば、アメリカは「終わる」とガスパリーノは指摘し、こう続けた。「トランプ政権が90日間の関税停止を余儀なくされた理由は、そこにあるのではないでしょうか」

すると異例の事態が発生した。生放送中にガスパリーノとアズマンが関税停止について対立し始めたのだ。

「これはホワイトハウスが白旗を掲げた事例だ」と主張するガスパリーノに対し、アズマンはトランプが意図的にぎりぎりまで事態を悪化させた上で見事にブレーキをかけたと擁護を試みた。ガスパリーノは「そういう見方もできますが」と応じ、「あるいはトランプが頭に銃を突き付けられていたという見方だってできる」と譲らなかった。

勢いづいたFOXニュースにはその後、小さいけれど象徴的な変化が見られた。関税の話題のときだけ画面に表示されていたダウ平均株価の速報値が、ずっと画面下に表示されるようになったのだ。

FOXのムードと同じく、株価も突如として上昇に転じていた。

©2025 The Slate Group

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