「今がチャンス」ホームレスになるため、40歳を過ぎて大阪から上京した男性
荒川河川敷の生活条件は厳しくとも、自然環境が美しく、缶を集めれば生計を立てられることも彼は知った。
特に、この連載で紹介したホームレスの大先輩2人――「荒川の釣り名人」桂さん(仮名)と荒川の「命の守り人」征一郎さんがとても印象的だったという。
※桂さんについては【第1話:荒川河川敷ホームレスの「アパート」と「別荘」を、中国人ジャーナリストが訪ねた】や【第14話:突然姿を消した荒川ホームレスの男性 何が起こったのか、残された「兄弟」は...】、征一郎さんについては【第19話:「ホームレスになることが夢だった」日本人男性が、本当にホームレスになった】など参照)。
宇海くんは、この2人の先輩を師匠とすることを決心した。桂さんに釣りのテクニックを学び、征一郎さんにアルミ缶を売ってお金を稼ぐ方法を学ぼう――と。
東京に着いた後、大きなスーツケースを引っ張って歩きながら、荒川下流の葛飾区にある平井大橋付近を出発し、合わせて10個以上の橋のふもとを通ってついに目的地に辿り着いた。
道中で出会ったホームレスに話しかけて、生活経験についていろいろ教えてもらった。その中には優しい人もいれば、少し乱暴な人もいたが、彼は「新米」として、腰を低くして相手の話を聞いた。
「師匠」に会えなかった残念な理由
荒川河川敷の「住民」になって2週間、昼間は散歩をしたり、ホームレスたちと話したりして過ごした。夜になると、橋の下にテントを張ったり、公園のベンチで休んだりした。
3月の初め頃、彼はやっと桂さんが以前住んでいた「小さな森」を見つけてもぐり込んだ。
しかし、そこで出会ったホームレスは別人だった。残念ながら、桂さんはすでに病気でこの世を去り、天国へ旅立ってしまっていた。
宇海くんはとても残念に思ったが、さらに上流を目指すことにした。
そこで彼が憧れている征一郎さんと会えるのだろうか?
征一郎さんは彼を「弟子」として受け入れるだろうか?
詳しい話は次回に持ち越すことにする。
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[筆者]
趙海成(チャオ・ハイチェン)
1982年に北京対外貿易学院(現在の対外経済貿易大学)日本語学科を卒業。1985年に来日し、日本大学芸術学部でテレビ理論を専攻。1988年には日本初の在日中国人向け中国語新聞「留学生新聞」の創刊に携わり、初代編集長を10年間務めた。現在はフリーのライター/カメラマンとして活躍している。著書に『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』(CCCメディアハウス)、『私たちはこうしてゼロから挑戦した──在日中国人14人の成功物語』(アルファベータブックス)などがある。

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