封建時代の「浪人」が現代のホームレスになった? 日本のホームレス史をたどる
7世紀から始まった日本の「ホームレス」の歴史
日本のホームレスの「大先輩」として、「浪人」の歴史を簡単に紹介したい。
「浪人」の原型は7世紀に遡る。大化の改新によって、唐にならって居住地や職業を登録する戸籍制度が確立されたことで、戸籍を離れて「浮浪」する者が現れた。
鎌倉時代(12世紀末~1333年)や室町時代(1336~1573年)には、武士が仕える主人が諸事情により不在となることで「浪人」になる者が増加し、彼らはしばしば生活状態の悪化から盗みを働くこともあったという。
徳川家康が日本を統一して始まった江戸時代(1603~1868年)には、社会全体が再び秩序を取り戻した。しかし、戦国時代に続いた戦乱と討伐によって多くの大名の家系が途絶えただけでなく、徳川家の初期3代による政策(「改易」)によって武士や大名が土地や職を失い、当時50万人の浪人がいたという説がある。
当時の浪人の中には、倒幕による社会変革を求めた者もいれば、幕府の権威と尊厳を守ることを選んだ者もいた。
そして1868年の明治維新で、徳川幕府が大政奉還すると、明治天皇が即位、一連の改革措置を公布し始めた。武士階級の特権を撤廃した「廃刀令」と「四民平等」である。
明治政府によるそれら一連の改革に反対した武士により、西南戦争が引き起こされた。その後、一部の武士は何とかして財閥や政治家になったが、多くの武士が国家命令の下で事実上の浪人になった。
しかし、明治維新以後の日本では対外政策が拡大し、生活の拠り所を失った浪人たちに新たな活路が生まれたとも言える。