なぜ中国はイラン核問題に首を突っ込むのか?
中国政府がイランの核問題に関与しようとしているのには、いくつかの理由がある。
まず、2023年にサウジアラビアとイランの外交関係正常化を仲介した中国は、「責任を果たす大国」という国際的なイメージをさらに強化する機会を探していた。加えて、イランの核問題は中国の経済的利害にも影響を及ぼす。中国が輸入している原油の約15%をイラン産が占めている。
ただし、中国は、イランが核兵器を持つことを支持しているわけではない。
「中国は、核保有国がこれ以上増えてほしくないと思っている。核兵器を持つ国が1カ国増えれば、ドミノ現象が起き、独自の核開発に乗り出す国がさらに増える可能性がある」と、趙は言う。「国際システムのリーダーでありたい国にとって、それは必ずしも好ましいことではない」
もっとも、世界の地政学的潮流の変化に伴い、核拡散をめぐる状況も変わる可能性がある。トランプ政権は同盟国に対して、アメリカの軍事力への依存を減らし、自国の防衛に関してもっと大きな役割を担うよう求めている。その結果、韓国などでは、核保有を目指すべきかどうかという議論が高まり始めている。
北京で行われた3カ国の協議がイラン核問題の解決に向けた一歩になるかどうかはまだ分からない。しかし、トランプが理解すべきなのは、ロシア、中国、イラン、そして北朝鮮という専制国家のグループがいっそう連携を強めつつあるということだ。
3月12~14日にカナダで開催されたG7(主要7カ国)外相会合では、ルビオ米国務長官も参加して、このような状況への対応を話し合った。
しかし、トランプはこれまでのところ、同盟国よりもロシアなど、従来の敵対国との協働に前向きに見える。