テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
Regretful Cybertruck Owners Claim Tesla Won't Take Back Their Vehicles
グローバル市場で苦戦するテスラ
アメリカのサイバートラック所有者はリセールの悪夢にさいなまれているが、テスラ問題は世界的だ。調査会社ブランド・ファイナンスによると、テスラのブランド価値は前年比で26%下落した。150億ドルの価値が吹き飛んだ一因は、マスク氏が政界に足を踏み入れ、選挙でトランプ氏や共和党の候補者を応援するため少なくとも2億8800万ドルを投じたことにあると同社は分析する。
アメリカでテスラのロイヤリティスコアは90%の高さを維持している。つまり、現在テスラを所有しているオーナーは、次の1年間も持ち続ける公算が大きい。しかしブランド・ファイナンスによると、アメリカでテスラの推奨スコアは10段階の8.2から4.3へと急落した。
ヨーロッパでもテスラは全面的なフリーフォール状態にある。
ヨーロッパ自動車工業会によると、1月のテスラ販売台数は9900台にとどまり、2024年1月比で45%減った。新車登録台数に占めるテスラのシェアは1.8%から1%に減少。その主な原因は、変人ぶりを強めるマスク氏の公の言動にあると内部関係者は見る。
「世界にはマスク氏の(ナチス式)敬礼が許される地域もあるかもしれないが、ヨーロッパ市場はそうした行為を拒絶する」。オランダのテスラ情報サイト「Tesla360.nl」の創設者、ティム・クラアイバンゲル氏はそう解説し、自身も最近、Model Yを売ってスウェーデン製のPolestarに買い替えたと打ち明けた。
商工会議所の上級ビジネスコンサルタント、アビゲイル・ライト氏は、「CEOは単なるリーダーではない。ブランド大使とみなされる」と本誌に語った。「その言動は消費者の信頼を形成し、投資家の判断に影響を与え、ブランドに対する見方を左右する」
ビリオネアとしてのマスク氏の富に直結するテスラ株は、過去1カ月で価値の4分の1を失った。同氏が支持するドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は2月23日の総選挙で史上最高の結果を出している。イギリスでは自身のXアカウントを使って社会不安をあおり立て、フランスではXのアルゴリズムを操作して言論を揺さぶったとして非難の的になる。そうしたマスク氏の行動もテスラの販売に悪影響を及ぼした。

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