世界で最も「資産額は?」と検索される人物...イーロン・マスクは本当に「史上最高の金持ち」か?
MUSK’S GOLDEN HAMSTER WHEEL
富と権力を持ち続けるために
銀行から金を借りるには抵当が必要だが、マスクの場合、テスラの保有株を担保にすれば、いくらでも借りられる。借金を返したいなら保有株を売ればいいが、売却益は課税対象になるのでがっぽり税金を取られる。それなら売却せずにそれを担保に借金生活をするほうが得策だ。
アメリカの大富豪は「買って借りて死ぬ」方式で税金を逃れる。金融資産などを買って、それを担保に金を借りて生活し、死んだ時点で相続人が金融資産を売れば、アメリカの税制では売却益はゼロと見なされるため相続税を取られずに済むのだ。
とはいえ、もしもマスクが引退すれば、彼の保有株の価値は大幅に下がるだろう。マスクが関わる企業はまるで魔法の粉をかけたように、市場の評価が高まるからだ。マスクもそれを承知の上でツイッターの買収時にはこっそり株を買い進めた。これは明らかに法律に違反する行為だ。
マスクが自社株を大量に売れば、額面価格を下回るほどその価値は下がりかねない。それでも多額の現金は手に入るが、税金を取られる。税金を払っても十分金は残るだろうが、マスクは史上最高の大富豪ではなくなるだろう。彼はそれで満足するだろうか。ほかのビリオネアが明日のテック戦争とイデオロギー戦争を主導するのを黙って見ていられるのか。