DOGEの天下...「皇帝」マスクが6兆ドル決済システムを牛耳り、米政府をぶった切る
MUSK’S POWER GRAB
およそ政治色のない人事部門である人事管理局には忠実な部下(高校を出たばかりの「顧問」もいるらしい)を送り込み、連邦政府職員に関する膨大な情報を入手させた。気前よく9月までの給与保証付きで政府職員の早期退職を募っているが、そのボーナスを払うには議会の承認が必要だ。
膨大な個人情報の漏洩には訴訟が提起されている。政府職員の住所や社会保障番号、病歴などのデータベースが商用サーバーに移されたという内部告発もある。
DOGEは正規の政府機関ではなく、ホワイトハウスにぶら下がっているだけ。だから公的機関としての倫理にも監督にも縛られず自由に動ける。
マスク自身は、機密情報へのアクセスに必要なセキュリティークリアランスを得ていない。国民に選ばれたわけでもない男が、厳重に守られた個人情報へのアクセス権を手に入れ、その情報を使って公務員を脅し、思いどおりに操ろうとしている。この事態を何と呼べばいいのか。
DOGEは財務省にも入り込んだ。財政を乗っ取るためだ。メディケア(高齢者医療保険制度)の給付金や公的年金、公務員給与、請負企業への支払いなど、毎年6兆ドルを支出する決済システムへのアクセスを要求した。
納税者の機密性の高いデータも含まれる。監督者だった人望の厚いキャリア官僚のデービッド・レブリクはDOGEへの協力を拒んだが、休職を命じられ、新任の財務長官スコット・ベッセントがDOGEにシステムを引き渡した。