最新記事
欧州情勢

プーチンの最終目標が見えた──トランプが非難する『選挙を経ていない独裁者』、ゼレンスキーの孤立

Russia’s Playbook

2025年2月26日(水)15時50分
カテリーナ・ボンダール(米戦略国際問題研究所ワドワニAIセンター研究員)

newsweekjp20250226033719-4de90e60c1764be94fb01a051ee32a96ab0bc5ac.jpg

プーチン(左)とトランプは首脳会談に意欲を示す(2019年6月) KEVIN LAMARQUEーREUTERS (2)

ウクライナ侵攻をめぐってアメリカのバイデン前政権は3年にわたり、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の孤立化を図ってきた。

だが今年1月に大統領に返り咲いたトランプは、2月12日にプーチンと電話協議。18日には米ロ高官がサウジアラビアで、ウクライナ停戦を協議する会合を行った。ウクライナと欧州各国の代表の姿はなかった。

トランプ政権はプーチンの「ウィッシュリスト(欲しいものリスト)」を1つずつかなえるような姿勢を見せている。

ピート・ヘグセス米国防長官はウクライナのNATO加盟の可能性を否定し、ロシアに占領された全ての領土を回復するという目標を放棄するようウクライナに促した。ミュンヘン安全保障会議では、J・D・バンス米副大統領が欧州諸国を痛烈に批判し、ロシアを喜ばせた。


そして近づく最終目標

ウィッシュリストの次の項目は、和平合意の締結前にウクライナに大統領選を実施させ、ゼレンスキーを失脚させることだろう。トランプは2月18日、戦争を始めた責任はウクライナにあり、交渉の前提条件として選挙を行うべきだとの考えを示した。

間もなくウクライナは、それぞれの理由で政権交代を望む2人の外国指導者に攻撃されることになるかもしれない。

他国のトップの正統性を否定するのは、ロシアの常套手段だ。プーチンはウクライナで昨年予定されていた大統領選が延期された後、ゼレンスキーには大統領としての正統性がないため、いかなる和平合意にも署名する権利はないと主張している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日本との関税協議「率直かつ建設的」、米財務省が声明

ワールド

アングル:留学生に広がる不安、ビザ取り消しに直面す

ワールド

トランプ政権、予算教書を公表 国防以外で1630億

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、堅調な雇用統計受け下げ幅縮
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 10
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中