最新記事
ウクライナ情勢

欧州が独力で「ウクライナ平和維持は困難」...アメリカの支援見込めず苦境に

2025年2月20日(木)09時17分
ウクライナ・ザポロジエ地域の前線で演習を行うウクライナ兵

2月18日、 欧州は、将来ウクライナを巡る和平合意が成立した後、同国に平和維持部隊を派遣するよう米国から要求され、ジレンマに直面している。写真は2024年7月、ウクライナ・ザポロジエ地域の前線で演習を行うウクライナ兵(2025年 ロイター)

欧州は、将来ウクライナを巡る和平合意が成立した後、同国に平和維持部隊を派遣するよう米国から要求され、ジレンマに直面している。

専門家によれば、欧州がウクライナに部隊を派遣すれば大西洋条約機構(NATO)自体の防衛力が弱体化する可能性がある上、任務を成功させるにはいずれにしても米国の支援が必要だ。


 

米軍が現地に派兵する必要はないと想定した場合でも、中距離ミサイルや、究極的には核兵器によって米国が抑止力を発揮することは重要になる。

第一次トランプ米政権時に英国の国家安全保障顧問だったマーク・ライアル・グラント氏は「米国が何らかの形で関与しない限り、攻撃的で国家主義的なプーチン(ロシア大統領)を前にして、いかなる安全保障合意も100パーセント信頼できるとは思わない」と語った。

欧州高官らも、欧州の平和維持部隊を保護し、ロシアが将来ウクライナに攻撃を仕掛けるのを抑止できるのは米国の保証だけだと言う。

トランプ大統領は先週、サウジアラビアのリヤドで米国とロシアがウクライナを巡る2国間和平協議を行うと発表し、欧州を驚かせた。協議は18日に始まった。一方、ヘグセス米国防長官は同盟国に対し、「安全保障を巡るいなかる保証も、欧州および欧州以外の有能な軍隊によって裏付けられなければならない」と述べた。

ヘグセス氏は、米軍をウクライナに派遣することはないと明言した。

欧州各国首脳は17日にパリで緊急会合を開いたが、ウクライナへの平和維持部隊派遣を巡る意見の隔たりは埋まらなかった。派兵案はフランスが音頭を取り、昨年から一部の欧州諸国が協議を始めていた。

試写会
『クィア/Queer』 ニューズウィーク日本版独占試写会 45名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

IT大手決算や雇用統計などに注目=今週の米株式市場

ワールド

バンクーバーで祭りの群衆に車突っ込む、複数の死傷者

ワールド

イラン、米国との核協議継続へ 外相「極めて慎重」

ワールド

プーチン氏、ウクライナと前提条件なしで交渉の用意 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 5
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 6
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 7
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 8
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 9
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 6
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 7
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 10
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中