最新記事
中東

ヨルダン国王の苦悩は終わらない...トランプの「ガザ所有」案に賛成も反対もできない理由

The King Talks With Trump

2025年2月18日(火)13時49分
アレクサンドラ・シャープ(フォーリン・ポリシー誌記者)
トランプ米大統領と会談したヨルダンのアブドラ国王

トランプと会談したヨルダンのアブドラ国王(左)は冴えない表情 ANDREW HARNIK/GETTY IMAGES

<ガザ住民の受け入れを迫られるヨルダン。アメリカの要求は突っぱねたいが、そうはいかない事情からトランプのご機嫌取りにも奔走──>

2月11日にホワイトハウスでアメリカのドナルド・トランプ大統領と会談したヨルダンのアブドラ国王だが、トランプがぶち上げたパレスチナ自治区ガザの住民の強制移住案をめぐり、厳しい立場に置かれている。

支持すれば国内の数百万人のパレスチナ系住民の怒りを買うことになるし、反対すればアメリカからの援助を断たれる可能性がある。


トランプは2月4日、ガザの210万人の住民全てをヨルダンやエジプトなどの近隣諸国に強制移住させた上でガザの再開発を行い、最終的にアメリカが「所有」するという計画を提案した。

ヨルダンとエジプトは即座に反対を表明したが、トランプはこの「不動産開発」計画に固執しており、中東諸国の指導者たちは頭を悩ませている。

10日にはヨルダンとエジプトがガザ住民を受け入れない場合、両国への援助を見直す可能性を示唆した。「もし両国が(強制移住案に)賛成しないなら、ことによると援助を打ち切るかもしれない」とトランプは言う。

ヨルダンはアメリカから年15億ドルを超える援助を受け取っている。

もっともトランプ政権はほぼ全ての対外援助を一時的に停止しているため、ヨルダンへの援助も凍結されている(ただしエジプトへの軍事援助は例外扱いで継続中だ)。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

トランプ関税巡る市場の懸念後退 猶予期間設定で発動

ビジネス

米経済に「スタグフレーション」リスク=セントルイス

ビジネス

金、今年10度目の最高値更新 貿易戦争への懸念で安

ビジネス

アトランタ連銀総裁、年内0.5%利下げ予想 広範な
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 5
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 6
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 7
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 8
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 9
    トランプ政権の外圧で「欧州経済は回復」、日本経済…
  • 10
    ロシアは既に窮地にある...西側がなぜか「見て見ぬふ…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 5
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 6
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    週に75分の「早歩き」で寿命は2年延びる...スーパー…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 6
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 7
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中