最新記事
アメリカ政治

マスクの「独断専行」にトランプ大統領側近の不満が高まる

2025年2月18日(火)09時04分
イーロン・マスク

2月14日、米実業家イーロン・マスク氏が「政府効率化省(DOGE)」トップとしての権限を拡大し続ける中で、トランプ米大統領側近の一部からはマスク氏の「独断専行」ぶりに不満が高まりつつある。事情に詳しい4人の関係者が明らかにした。写真は11日、ホワイトハウスの大統領執務室で記者団の取材に応じるトランプ氏(右)とマスク氏(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)

米実業家イーロン・マスク氏が「政府効率化省(DOGE)」トップとしての権限を拡大し続ける中で、トランプ米大統領側近の一部からはマスク氏の「独断専行」ぶりに不満が高まりつつある。事情に詳しい4人の関係者が明らかにした。

マスク氏のDOGEは連邦政府職員数千人の解雇を目指し、重要データにアクセスしながら、同時に政府機関の業務遂行に混乱をもたらしている。これらの動きに対して、スージー・ワイルズ大統領首席補佐官や彼女のスタッフらは、時折「蚊帳の外」に置かれているとの感触を持っているようだ。関係者の1人は、ワイルズ氏と何人かの補佐役が最近、この問題でマスク氏と話をしたと述べた。


 

11日にホワイトハウス執務室で、4歳の息子を連れて記者団の取材に応じたマスク氏は、自身とDOGE職員、トランプ氏の間で何事にも足並みをそろえる意向を示した。だがマスク氏がホワイトハウス高官の一部と緊張関係にあることは、議会の権限に踏み込み、一連の訴訟に直面しながらも政府組織の抜本的リストラを進めようとしているトランプ氏にとって、中核的な側近団とマスク氏が率いるDOGEの折り合いをつけるのがいかに難しいかを浮き彫りにしている。

事情に詳しい関係者によると、ワイルズ氏と補佐役らはDOGEの取り組みについてマスク氏に「われわれが全てに口を挟み、関与する必要がある」と通告した。ロイターは、この会話がいつ行われたのか、まだマスク氏がその後何か軌道修正したのかは確認できていない。

この関係者は、トランプ氏自身が献金者などと顔を合わせた際に言及するマスク氏の評価は引き続き好意的だと付け加えた。

マスク氏はコメント要請に回答せず、ホワイトハウスはコメントを拒否した。事情を知る政権高官の1人は、ワイルズ氏らとマスク氏の関係を緊張状態と見なすのを否定するとともに、当初の「業務上のちょっとした支障」は解消されていると主張。マスク氏が1日の終わりにワイルズ氏へ報告書を送り、ほぼ毎日互いに電話で会話をしていると説明した。

トランプ氏は11日、人員削減や採用抑制を通じて政府の規模を大幅に縮小するためにDOGEと協力するよう各省庁に指示する大統領令に署名した。

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

相互関税は即時発効、トランプ氏が2日発表後=ホワイ

ワールド

バンス氏、「融和」示すイタリア訪問を計画 2月下旬

ワールド

米・エジプト首脳が電話会談、ガザ問題など協議

ワールド

米、中国軍事演習を批判 台湾海峡の一方的な現状変更
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 9
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中