不動産王トランプの新たな妄想「ガザのリゾート化」は実現可能か? 和平への唯一の道は「これだ」

DONALD TRUMP AND THE FUTURE OF GAZA

2025年2月12日(水)15時46分
トム・オコナー(外交担当副編集長)、エリー・クック(安全保障・防衛担当)
イスラエル軍の攻撃で破壊されたガザ地区(2024年3月)

イスラエル軍の攻撃で破壊されたガザ地区(2024年3月) ImageBank4u-shutterstock

<「住民大移動」「アメリカによる開発」を突然ぶち上げたトランプ大統領だが、和平の実現には世界が「腐りきった」パレスチナ自治政府に向き合い「唯一の道」にたどり着く必要がある>

絶妙のタイミングだったのは間違いない。6週間の期限付きとはいえ、パレスチナ自治区ガザでの停戦が発効したのはドナルド・トランプが2度目の大統領就任式に臨む前日の1月19日。運がよければ、2023年10月に始まった戦争はこのまま終結に向かうかもしれない。

就任式当日にも、トランプは上機嫌で手柄話を繰り返していた。いわく、停戦案の大筋は昨年5月段階でまとまっていたのに前大統領ジョー・バイデンは決め切れなかった、だから自分がスティーブ・ウィトコフを特使として送り込み、ぎりぎりで突破口を開かせたのだ、などなど。


実際、イスラエル側の複数の情報源も本誌に、トランプ陣営のひと押しでみんなが動いたと証言している。

トランプは就任から1週間足らずで、イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの停戦合意の延長も見届けた。トランプ流「力による平和」路線の船出は、まず順調と言えそうだ。

しかし新政権が移民の大量強制送還デンマーク領グリーンランドの「購入」構想などで、国内外で多くの物議を醸しているのも事実。この先を見据えるなら、そして今回の貴重な外交的勝利を無駄にしないためにも、中東和平には一段と真摯で慎重な取り組みが求められる。

「イスラエルのネタニヤフ首相はトランプにノーと言えなかった。カタールやエジプトはトランプに貸しをつくりたかった。だから(イスラム組織)ハマスを説き伏せ、あの時点での停戦をのませた。自分の政権下で戦闘が再開される事態をトランプは望まないという読みがあったからだ」。

ベテラン外交官でワシントン中近東政策研究所のデニス・ロスはそう語った。

試写会
米アカデミー賞候補作『教皇選挙』一般試写会 30組60名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナとの占領地域交換交渉、「決してしない」と

ワールド

イスラエル軍が予備役招集、ガザ戦闘再開備え 仲介国

ワールド

中国がロシアの無人機製造支援、西側部品密輸拠点に=

ビジネス

スターゲート次第で、投資はこれから少し加速する=ソ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ガザ所有
特集:ガザ所有
2025年2月18日号(2/12発売)

和平実現のためトランプがぶち上げた驚愕の「リゾート化」計画が現実に?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だった...スーパーエイジャーに学ぶ「長寿体質」
  • 2
    2025年2月12日は獅子座の満月「スノームーン」...観察方法や特徴を紹介
  • 3
    iPhoneで初めてポルノアプリが利用可能に...アップルは激怒
  • 4
    世界のパートナーはアメリカから中国に?...USAID凍…
  • 5
    フェイク動画でUSAIDを攻撃...Xで拡散される「ロシア…
  • 6
    研究者も驚いた「親のえこひいき」最新研究 兄弟姉…
  • 7
    便秘が「大腸がんリスク」であるとは、実は証明され…
  • 8
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 9
    メーガン妃の最新インスタグラム動画がアメリカで大…
  • 10
    0.39秒が明暗を分けた...アルペンスキーW杯で五輪メ…
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だった...スーパーエイジャーに学ぶ「長寿体質」
  • 3
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 4
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギ…
  • 5
    戦場に響き渡る叫び声...「尋問映像」で話題の北朝鮮…
  • 6
    Netflixが真面目に宣伝さえすれば...世界一の名作ド…
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    研究者も驚いた「親のえこひいき」最新研究 兄弟姉…
  • 9
    メーガン妃の最新インスタグラム動画がアメリカで大…
  • 10
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中