「アメリカは抜けない...」諦めムードに沈む中国だが「ナンバー2」の方が「お得」かもしれない?

BABY BLUES

2025年2月5日(水)15時52分
ジョン・フェン(東アジア政治担当)、マイカ・マッカートニー(アジア安全保障担当)

中国の仏教寺院

1200年の歴史を誇る仏教寺院 GOLF WAS HERE/GETTY IMAGES

原因は経済成長モデルの行き詰まりとデフレへの対処の失敗にあると、英オックスフォード大学中国センター(University of Oxford's China Centre)のジョージ・マグナス研究員はみる。

「今すぐ中国が世界の製造業と貿易に多大な影響を及ぼさなくなるわけではない。アジアを超えて力を行使しなくなるわけでもない」と、マグナスは言う。「だが影響力の基盤が経済にあった分、その影響力はおそらく既にピークを迎えており、今後は低下すると思われる」


第2次大戦後、中国の人口は急増し、これに歯止めをかけたのが1979年に導入された一人っ子政策だった。以降2016年に政策が廃止されるまで、中流層と都市部のエリート層は子供の数を制限された。

1970年代、1人の女性が生涯に産む子供の数は6人と高水準にあったが、国連によればこの数は、現在1人前後まで落ちている。上海などの大都市では少子化がさらに顕著で、合計特殊出生率は人口を維持するのに必要とされる2.1をはるかに下回る0.6だ。

経済的に豊かになる一方で、中国では高齢化も進む。社会保障の負担増加、生活コストの上昇、家族観の変化といった豊かな社会ならではの特徴が、多くの大都市に見て取れる。

ある市民は女性に対する圧力を、オンラインでこう批判した。「かつてこの国には生殖の自由がなかったが、今は当局が間接的に生殖の選択に干渉してくる。数十年の経済発展を経ても、政府による『人民』の統制、そして敬意と自由を軽んじる姿勢は変わらない」

当局が語ろうとしないのは、経済の低成長の影響だ。人口問題を克服しなくとも、経済大国ではいられる。だが世界の金融システムにおいてアメリカから覇権を奪いたいなら、これに対処しなくてはならない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英小売売上高、2月は前月比+1.0 非食品好調で予

ビジネス

日本郵政、増田寛也社長が退任へ 後任は根岸日本郵便

ワールド

ミャンマー中部でM7.7の地震 バンコクでも揺れ 

ビジネス

アングル:日銀の国債買い入れ、4月に10―25年減
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影された「謎の影」にSNS騒然...気になる正体は?
  • 2
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 3
    地中海は昔、海ではなかった...広大な塩原を「海」にした、たった一度の「大洪水」とは?
  • 4
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 7
    「マンモスの毛」を持つマウスを見よ!絶滅種復活は…
  • 8
    「完全に破壊した」ウクライナ軍参謀本部、戦闘機で…
  • 9
    【クイズ】アメリカで「ネズミが大量発生している」…
  • 10
    老化を遅らせる食事法...細胞を大掃除する「断続的フ…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 3
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 4
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 5
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 8
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 9
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 10
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中