最新記事
外交

「トランプ2.0」で、アジアの未来はこう変わる

ASIA UNDER TRUMP 2.0

2025年2月7日(金)15時07分
練乙錚(リアン・イーゼン、経済学者)

日本、韓国、台湾は揺さぶりを覚悟せよ

関税収入を米国内の減税の財源に充てた場合、労働量や生産規模が拡大し、供給はさらに強化される。従って、より長期的には、関税がインフレ率に与える影響は批判派が主張するよりずっと小さい。FRBのバーナンキ元議長ら、著名な経済学者も今や同じ見解を表明している。

一方、トランプは日本や韓国、台湾に集団防衛の負担増と防衛費の大幅拡大を要求するだろう。トランプはNATO加盟国に国防費のGDP比5%引き上げを求めている。GDPに占める防衛費の割合が低い日本(1.6%)や韓国(2.8%)、台湾(2.5%)は揺さぶりを覚悟すべきだ。


もし(可能性の低い「もし」だが)トランプの思惑どおりにいけば、アジアの同盟国が軍事的により強く、経済的により厳しい状態になる一方、アメリカはより強力で豊かになる。中国や北朝鮮も愚挙に出る前に再考せざるを得ないだろう。パックス・アメリカーナ(アメリカによる平和)を是とする第1列島線(沖縄から台湾、フィリピンに至る中国の防衛線)付近の住人にとっては、必ずしも悪いことではない。


newsweekjp_20240701034059.jpg練乙錚
YIZHENG LIAN
香港生まれ。米ミネソタ大学経済学博士。香港科学技術大学などで教え、1998年香港特別行政区政府の政策顧問に就任するが、民主化運動の支持を理由に解雇。経済紙「信報」編集長を経て2010年から日本に住む。

20250211issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月11日号(2月4日発売)は「中国経済ピークアウト」特集。人類史上かつてない人口減で「アメリカ超え」に赤信号 [PLUS] DeepSeekの実力

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ブラジルで小型機墜落しバスに衝突、2人死亡 サンパ

ビジネス

サムスントップ巡る訴訟、検察が最高裁に上告

ワールド

中国、米の「妨害」工作非難 パナマの「一帯一路」離

ビジネス

焦点:トランプ政権の注目、FRBから10年債利回り
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 3
    戦場に響き渡る叫び声...「尋問映像」で話題の北朝鮮兵が拘束される衝撃シーン ウクライナ報道機関が公開
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 6
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギ…
  • 7
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 8
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 9
    「僕は飛行機を遅らせた...」離陸直前に翼の部品が外…
  • 10
    Netflixが真面目に宣伝さえすれば...世界一の名作ド…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 5
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギ…
  • 6
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 7
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 8
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 5
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 6
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 7
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中